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平成19年第3回定例会~会議録より


▼平成19年第3回定例会(第2日 9月21日)より、私の一般質問を掲載します。

ぜひご一読願えれば幸いです。

会議名:平成19年第3回定例会(第2日 9月21日)

○米山真吾議員

さきの通告に従いまして、区政一般質問をさせていただきます。

近年のペットブームを反映して、ペットを飼う家庭が増加傾向にあります。ペットビジネスも全体で1兆円市場と言われており、動物取扱業者も毎年増加し、大手住宅メーカーや自動車メーカーによるペット対応型商品の提案等、商品開発が拡大しております。

また、平成17年に都内で販売されたマンション約6万6,000戸のうち、動物飼養が可能なものは全体の6割を占め、集合住宅 での動物飼養が普及してきたことが伺えます。集合住宅のため動物飼育が禁止されていたケースが多いため、このような動きによって今後はますますペットの飼 養が増えてくるものと推察されます。

しかし一方で飼い主のマナーの悪さやモラルの低下などによって、さまざまな問題も起こっていることも現実としてあります。内閣 府の調査でも、ペットを飼うことで問題が生じるとすればどのようなことだと思うかと聞いたところ、捨てられる犬や猫が多いと挙げた者の割合が61%と最も 高く、以下、最後まで飼わずに保健所などに引き取ってもらう人がいる、寄生虫や人畜共通感染症がうつる可能性があるなどの順となっております。

それを裏づけるように、平成17年度の東京都動物愛護相談センターの統計資料によりますと、平成17年度は約9,200頭余り が収容され、そのうち犬が約660頭、猫が約6,000頭余り、元の飼い主への返還や新しい飼い主への譲渡ができず、終末処理されている現状もございま す。

捨てられた犬や猫の致死処分、終末処理をされている命のあり方の問題、そして捨てられた飼い主のいない猫などによっての糞の問 題や無責任なえさやりなどによって、地域の生活環境問題になっていきていることも現実としてある中、人と動物がうまく共生できる社会や地域を築いていく必 要があると思います。

まず初めに、飼い主のいない猫が及ぼす地域生活環境への対策について質問いたします。

近年、安易にペットを捨てる人がふえ、その結果、飼い主のいない猫、以下、地域猫と呼ばせていただきますが、まち中にあふれる ようになってきました。本区においても、猫については、平成18年度では191件に上る苦情が来ており、71件はえさやりに対するもので、猫に被害を受け ていると考えている人と、猫を保護しようとする人の意識の隔たりが、地域における猫をめぐる問題を難しくしている現状であります。

地域生活環境に影響を与える原因の一つは、屋外でえさやりを行うことにより地域猫たちが集まってくることによって、糞尿や鳴き声などの生活環境への影響が出てくることと、さらに地域猫が繁殖をしてしまい、環境がより悪化するという現象が起こってしまうためであります。

問題が発生している地域に、これには少なくとも町会や自治会など地域の合意や理解が必要ですが、地域猫たちの存在をまず認め、 地域で糞やえさやりなど適正管理できる仕組みを構築していくことが必要になります。地域猫は屋外での平均的な寿命は4、5年程度と言われ、不妊・去勢手術 をほどこせばそれ以上ふえないため、去勢をほどこしたその猫1代限りになるので、その猫を見守ってさえいけば地域生活環境への影響は減少していきます。

私は、この不妊・去勢手術の推進と、えさやりなどの適正飼養の啓発については、既にこのような活動をしている区内の個人、グ ループのボランティあるいはNPOの方たちと共に行政と地域が連携して行っていけばいいのではないかと思います。このように不妊・去勢手術を推進しなが ら、繁殖しないようにし、そしてえさやりなどの管理を適正に行い、一定期間1代の地域猫は認めつつ、ボランティアやNPOの方たちの力をいただき、緩やか に地域猫の問題を解決していくことができるのではないかと思います。

しかし、課題もあります。不妊・去勢手術については金銭が伴うことは現実の問題としてあります。そこはある程度行政の力が必要 になると考えます。また、ボランティアやNPOの方たちといっても何ら権限もない状況の中で地域に入っていくことは、調整等に困難なケースもでてくると考 えられます。地域に対し、信頼感や安心感を与えるために行政のバックアップが必要だろうと考えます。

そこで質問いたします。

飼い主のいない猫が地域生活環境に及ぼす問題を解決するために不妊・去勢手術は必要だと考えますが、NPOやボランティアあるいは獣医師会などの協力を得ながらコスト面の課題を解消しつつ、財政援助を進めていくべきだと思うが見解を伺いたい。

飼い主のいない猫に対して地域で飼育する仕組みをつくるために、NPOやボランティアが地域とのインターミディアリーの役割を 担ってもらうため、都の動物愛護推進委員に準ずるような形での推進員あるいは普及員などの制度をつくることによって地域への対応がしやくする効果があると 考えられるがいかがか。

次に、飼い主側の社会的責任の向上という観点から質問いたします。

先ほども述べましたが、内閣府が行った動物愛護に関する世論調査で、捨てられる犬や猫が多いを挙げた者の割合が61%と最も高 くなっており、飼い主が責任を持ってペットを飼育するということが希薄になっている一面があります。犬の場合は狂犬病予防法を根拠として登録義務がありま すが、猫の場合はありません。適正飼養の啓発はもちろん当然ですが、飼い主みずからが社会的責任を自覚する必要があります。

私は、ペットを飼う際には個体登録、個体認識をしっかりと行うことが必要であろうと考えます。自分が飼っているペットの情報が 対外的にあることにより、仮にペットを捨てた、あるいははぐれてしまったとしても、それが収容され、個体登録があることによって、飼い主を特定することが でき、ペットを飼い主のもとに返していくことができる可能性があるからです。そのことによって飼い主の社会的責任の自覚向上や、また、ペットがいなくなっ てしまっても返ってくる可能性が高いので、安心感の向上、あるいは災害時においてもつながっていくものと考えられます。

杉並区では、動物との共生プランへの提言の最終報告書に、猫の任意の登録制度を提言しており、今後猫の登録制度に取り組んでい く方針であります。義務化については是非の議論があると思われるため今後の議論とするとして、任意での登録制度を検討してみてはどうかと考えます。

そこで質問いたします。

飼い主の社会的責任の向上、ペットの収容時あるいは災害時において、飼い主を特定する際の情報源として猫の任意の登録制度は有 効ではないかと考えられますが、区の見解を伺いたい。また、マイクロチップなどを導入して個体認識を行っていくことは有効な手段と考えられるが、区の見解 を伺いたい。

また、将来の飼い主になるだろう子供たちに、動物愛護や動物由来感染症の予防等に関して成長過程に応じた普及啓発を行うことによっても、将来における飼い主の社会的責任の向上につながるものと考えます。

そこで質問いたします。

小学校などで子供たちが主体となって動物を飼育しているところもあるが、動物愛護の啓蒙活動また命の大切さを学ぶ情操教育の一環として、獣医師会などと協力をしながら、子供たちと一緒に動物を見守っていく仕組みをつくったらどうか。

以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○(青木勇区長)

米山議員の、人と動物との共生についてのご質問にお答えいたします。

平成17年に改正をされました動物愛護法によりますと、国は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的 な指針を定めなければならないとされておりまして、また、それを受けて、都道府県は、その基本指針に即して動物の愛護及び管理に関する施策を推進するため の計画を定めなければならないとされております。

この規定に基づきまして定められました指針や計画の中には、人と動物の共生についてのさまざまな理念や施策が盛り込まれており ます。葛飾区におきましても、これらの指針や計画に沿って、人と動物の調和のとれたまちづくりを進めていかなければならないと考えているところでございま す。

折しも、昨日から1週間、動物愛護週間でございます。飼い主のいない不幸な猫をこれ以上ふやさないことは共生の第一歩と考えます。区として必要な施策を進めていきたいと思っております。

ご質問の猫の登録制度でございますけれども、お話にもありましたけれども、飼い主の社会的責任の向上等に有効と考えられるという ところから、一部の自治体で任意の猫の登録制度の導入が検討されているところでございます。本区として、このような先行をして取り組んでいる自治体におけ る効果や問題点などを参考にしながら、猫の登録制度について研究をしてまいりたいと考えております。

もう1点、マイクロチップに関してでございます。

マイクロチップは、個体の識別に非常に有効な手段であることはご指摘のとおりでございます。動物愛護法では、トラあるいはニホ ンザルといったような、人間に危害を与えるおそれのある特定の動物にはマイクロチップによる個体識別を義務づけているところでございますが、犬や猫につい ては任意でございますし、また、費用もかかるということから、飼い主が積極的にこれをつける意識というのは比較的薄いのが現状でございます。

区ではこれまで、防災訓練や狂犬病の予防注射会場などでマイクロチップの紹介を行ってまいったわけでございますが、今後も引き続き、普及啓発活動を行うことによって、飼い主の方々の意識の向上に努めてまいりたいと考えております。

その他のご質問につきましては、教育長と所管の部長から答弁をいたさせます。

○(山崎喜久雄教育長)

小学校の動物飼育についてのご質問にお答えいたします。

現在、小学校においては、生活科の学習の一環として、ウサギ、ニワトリ、チャボ、ウコッケイ、アヒルなどの小動物を飼育しております。猫ですとかネズミは飼育しておりません。(笑い声あり)

教師など飼育小屋を担当する者が、動物飼育に関する知識の不足により適切な管理ができない場合、動物が病気になったり、過剰繁殖により狭い飼育小屋の中で動物間のなわばり争いが起こる等、飼育環境の悪化が生じてきます。

そのため、教育委員会では、葛飾区獣医師会のご協力により、飼育動物の疾病の早期発見、疾病予防を含めて飼育小屋の現況把握を 行う目的で学校訪問指導を実施しているところであります。また、適正な飼育管理を行うことができるよう、学校管理職や動物飼育担当教諭を対象に、ウサギ、 ニワトリなど、毎年異なる小動物をテーマにした学校飼育動物講習会を開催しております。

動物の飼育は、子供たちが命の大切さを学び、動物への関心を高め、情操をはぐくむ上で大きな役割を果たしております。

教育委員会といたしましては、今後とも、葛飾区獣医師会と連携を図り、学校における適正な動物の飼育ができるよう支援してまいりたいと考えております。

以上でございます。

○(東海林文夫保健所長)

飼い主のいない猫の不妊・去勢手術についてでございます。

区としても、飼い主のいない猫をこれ以上ふやさないための方策として、猫の不妊・去勢手術の実施は必要であると認識しておりま す。現在、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術につきましては、個人やボランティア団体における私的な活動により行われているのが実情でございます。そのた め、今後は、NPOとの協働事業として、飼い主のいない猫の里親探し事業を実施し、その中で、公費による不妊・去勢手術費用の負担について検討したいと考 えております。その際には、お話にありましたように、獣医師会等の他の関係機関の協力も得ながら行っていきたいと考えております。

次に、飼い主のいない猫の問題を解決するための推進委員等の制度についてでございますが、さきに述べましたように、飼い主のい ない猫の対策を推進していくためには、NPOなどの協力は欠かせないものでございます。NPOとの協働事業である、飼い主のいない猫の里親探し事業の実施 に際しては、このNPOに所属するボランティアの方々はもとより、区内の飼い主のいない猫に対し、えづけや不妊・去勢手術の実施、糞尿の始末などの清掃活 動、里親探しなどに誠実に取り組んでいるボランティア団体の方々に推進員等の役割をお願いすることも含め、飼い主のいない猫対策の仕組みづくりを検討して いきたいと考えております。

以上でございます。

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