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令和元年 定例会~会議録より


令和元年 第3回定例会(一般質問:民間資金の活用)

○米山真吾

 お許しをいただきまして、私はかつしか区民連合を代表いたしまして、さきに通告した順序に従い、区政一般質問をいたします。  まず初めに、歳入確保の方策と地域課題を解決するための民間資金の活用について伺います。  少子高齢化や仕事の働き方や社会システムの変化など、時代の動きが大きく変わってきています。それに伴い、多様な行政サービス需要が高まる中で、それを下支えする財源については限りがあり、歳入の確保は常に取り組まなければならない課題だと考えます。今年度の一般会計予算は、1,961億5,000万円と過去最高を更新しました。内訳は、自主財源の特別区税は342億円、財政調整交付金は757億円と大幅な増になっています。これは好調な企業業績を背景にふえたことが要因とされていますが、一方でオリンピック・パラリンピック後の景気後退や米中貿易摩擦など世界的な政情不安などが今後の日本経済に悪影響を与えることも懸念されています。今後の経済状況や人口動態などの影響があっても必要な区民サービスを着実に展開していくためには、既存の歳入構造以外の歳入確保策も検討していく必要があると考えます。  区は昨年、ふるさと納税の仕組みを導入しました。住民税の減収相当額が8億円超、一方でふるさと納税は8,500万円となり、7億円以上の流出超過となりました。この結果については分析が必要だと思います。ふるさと納税には本区の特色を知ってもらうという側面もありますが、歳入確保という面では改善の取り組みが必要です。こうした状況を踏まえ、今後の歳入確保について検討をしていただきたいと思います。  また、直接的に資金を集める方策として、平成29年にも質問いたしましたが、ガバメントクラウドファンディングも検討してみてはどうかと考えます。クラウドファンディングとは、不特定多数の人たちがインターネットを経由して組織などに資金の提供や協力をすることでありますが、その自治体版です。自治体に対する寄附という点ではふるさと納税と共通していますが、寄附金の使途が最初から具体的に示され、使途に着目して寄附を行うという点がふるさと納税とは異なる点であり、歳入確保策として非常に有効な仕組みであると認識しております。他の自治体の事例を見ますと、犬や猫の殺処分ゼロプロジェクトや厳しい生活環境に置かれている子供たちへの食事支援に対しての寄附のお願いなど、各自治体のそれぞれの地域課題を解決するために創意工夫しながら寄附を募っています。寄附金額にはばらつきがありますが、そういった取り組みを行いながら自治体の歳入を補完し、またその事業やプロジェクトに寄附をすることによって、参加意識の向上や地域への愛着、文化の醸成も図られていくのではないかと思います。本区ではまだ実績がありませんが、実証的な意味合いも含め、全国からも支援を得られるようなメニューを検討し、導入を検討していただきたいと思っております。  次に、SIB、ソーシャル・インパクト・ボンドについて伺います。  SIBとは、行政の成果連動型支払契約と民間資金の活用を組み合わせた官民連携手法の一つで、2010年にイギリスで始まりました。通常、行政はサービス提供者と業務委託契約を締結し、サービス提供者が提供するサービスの成果にかかわらず、サービスを実施したことに対して決まった金額が支払われます。成果連動型支払契約では、サービス提供者が提供するサービスの成果に応じて行政が報酬を支払います。一般的にサービスの成果はサービス提供してすぐに出るものではなく、一定期間経過後に出てくる場合が多く、行政がサービスの成果を測定し報酬を支払うまでに数年かかってしまうことになります。しかし、主なサービス提供者である企業やNPO等は資金的な余裕がない場合が多く、支払いが数年後になるような成果連動型支払契約への対応は困難です。そこで、サービス提供者のサービス提供費用について、まず、民間資金提供者から資金調達を行い、ここがこの制度の肝ですが、行政と事前に合意した成果目標を達成できれば後から行政が資金提供者へ成果に応じて報酬を支払うという仕組みが開発され、これがソーシャル・インパクト・ボンドと呼ばれております。  まだ国内でも事例は少ないですが、八王子市は大腸がん検診受診率が低かったことから、受診率向上を図るため、この手法を導入したところ、2015年度実績の9%及び最大成果目標値の19%をさらに上回る26.8%となり、大腸がん検診受診率に応じた支払い額も満額で支払われたそうです。広島県でも広域連携型として進めていると伺っています。このように地域の課題を抽出し、民間企業やNPOと金融機関などの資金提供者と成果目標を事前に定め、それに応じて成果連動型の支払いをするという仕組みは、行政側は初期費用が不要で、成果が達しない場合は支払いがないため、リスクが低いというメリットがあります。成果指標のあり方など課題はありますが、冒頭で述べましたが、既存の歳入構造以外の確保策を模索していくならば、地域の諸課題を、民間資金を活用しながら解決していく方策も検討すべきではないかと考えます。  そこで質問いたします。  1、区は今後のさらなる財源確保に向けた新たな歳入確保策検討の必要性について、どのように認識しているか、伺いたいと思います。  2、新たな歳入確保策として自治体版クラウドファンディングを導入すべきと考えるが、どうか。  3、地域の諸課題を解決するためにSIB、ソーシャル・インパクト・ボンドなどの民間資金を活用した仕組みを検討してはどうか。  以上で、1番目の質問を終わります。

青木区長 米山議員のご質問にお答えいたします。 まず、歳入確保の方策と民間資金の活用に関するご質問のうち、今後のさらなる財源確保に向けた新たな歳入確保策検討の必要性についてお答えいたします。 本区における歳入については、国内景気の堅調な推移などを受け、特別区税や特別区交付金も増加しているところでございます。しかしながら、来月から始まる消費税率アップによる消費の減退や、東京2020大会後の景気減速も危惧されているところであります。こうした中にあって、区は今後も必要な区民サービスを着実に展開していくためにも、安定した歳入の確保に努めていかなければなりません。区ではこれまでも、歳入確保のため、滞納整理の強化、コンビニ納付やインターネット決済など収納チャネルの拡大による税・保険料の収納率の向上、区有財産の有効活用といった取り組みを進めてまいりました。今後もこうした取り組みをさらに推進していくことはもちろんですけれども、既存の手法にとらわれない新たな財源確保の取り組みについても検討していく必要があると認識しております。 次に、新たな歳入確保策として自治体版クラウドファンディングを導入すべきとのご質問にお答えいたします。 自治体版クラウドファンディングは、ふるさと納税の仕組みを活用し、自治体が行う特定の取り組みに対し、インターネットを介して自治体内外の寄附者から広く資金を募るものであります。ふるさと納税と同様、寄附者は税金の控除を受けることができますが、あらかじめ用意した品物の中から返礼品を選択するふるさと納税とは異なり、特定の取り組みに対して資金を募るところでございますので、そうしたところに大きな特徴がございます。自治体にとっても、取り組みを通じて寄附者の方に自治体への愛着を感じていただけることや、取り組みに対する寄附者の方の関心度合いをはかることができるという点でも、すぐれた資金調達方法であると認識しております。 本区におきましても、ことし3月に策定いたしました区民サービス向上改革プログラムに新たな手法による歳入確保策として自治体版クラウドファンディングを掲げ、取り組んでいくこととしております。今後、寄附者の方の関心をより多く得られるよう、また葛飾の魅力を一層アピールできるよう十分に検討しながら、導入に向け具体的な取り組みを進めてまいります。 以上です。 田口浩信政策経営部長 地域の諸課題を解決するためにSIB、ソーシャル・インパクト・ボンドなどの民間資金を活用した仕組みを検討してはどうかとのご質問にお答えいたします。  ソーシャル・インパクト・ボンドは、お話にもありましたように、イギリスで生まれた仕組みであり、事業者が投資家から社会的課題解決のための事業を実施する資金を募り、行政と事業者とであらかじめ定めた目標を事業者が達成した場合に行政から成功報酬を受け取れる契約を締結するものでございます。成功報酬型とすることで、事業者にとっては事業実施のインセンティブが働くと同時に、自治体にとっても、民間資金を活用することにより初期投資が不要となるとともに、事業者が目標を達成できなかった場合に成功報酬を支払う必要がないなど財務的なメリットがございます。都内では八王子市が大腸がん検診にこのソーシャル・インパクト・ボンドの仕組みを導入しておりますけれども、国内ではまだ導入事例が少ない状況にございます。  区といたしましては、先進自治体の状況も調査しながらメリットや課題などを整理し、今後の導入に向け研究を進めてまいります。  以上です。 米山真吾 次に、今年度試行実施した夏季休業期間中の児童の見守りについて伺います。  わくわくチャレンジ広場は、放課後に学校の施設を利用し、地域の方の見守りのもと、子供たちが安全に過ごせる居場所をつくる事業です。平成14年から実施され、この間、各校に設置された運営委員会や現場で子供たちを見守る児童指導サポーターの皆さんを中心に子供たちのためにご尽力いただいて、現在も継続して実施されています。区は今年度、新たな取り組みとして、夏季休業中においても午前8時半から午後5時までという長時間、児童が自主的に活動し見守りを行う、いわゆるサマーチャレンジの試行実施をいたしました。区内で3校、実施校を選定し、私も拝見させていただきましたが、子供たちは友達と一緒にいろいろな遊び道具を使ってとても楽しそうに遊んでいたのが大変印象的でした。  現在、学童保育クラブの待機児童の課題が出ています。学童保育クラブとわくチャレは位置づけや目的が違いますので一概には言えませんが、保護者の中には、多くの学校のわくチャレが3季休業中に実施されないため学童保育クラブを選択するという方もいるようです。3季休業中のわくチャレの実施については、以前から保護者から実施してほしいとの声もありました。そう考えますと、わくチャレを3季休業中に実施することによってわくチャレを選択する保護者もふえるのではないかと考えます。このことで学童保育クラブの待機児童の課題が全て解決するわけではありませんが、よい影響が出るのではないかと考えます。ただ、3季休業中の実施については、長年、取り組まれてきたサポーターの皆さんとの調整はもちろん、おのおののわくチャレの特色に合わせて運営方法も慎重に検討する必要があります。また、今回、人材派遣を活用されたとのことですが、どのような支援体制を今後整えていくのか、また、財源の確保なども検討課題だと思います。いずれにしましても、今回試行実施した結果を分析し、アンケート等で事業の評価を聞きながら検証していく必要があると考えます。  そこで質問いたします。  1、教育委員会は、学校施設を活用した放課後子ども支援事業として、今年度、夏季休業期間に新たな取り組みを行ったが、取り組みに至った経緯や理由について伺います。  2、今回のサマーチャレンジの試行実施において、各校の登録者数や参加人数等の状況を伺うとともに、現段階での試行実施の効果を教育委員会はどのように捉えているのか、見解を伺います。  3、保護者のニーズは高いと感じるため、今後、事業検証をし、課題を整理しながら拡充していく必要があると考えますが、どうか。  以上で、2番目の質問を終わります。 塩澤雄一教育長 放課後子ども支援事業として、今年度、夏季休業期間に新たな取り組みを行った経緯や理由についてのご質問にお答えいたします。  これまで本区は、学校施設を活用した放課後子ども支援事業として、学校内への学童保育クラブの整備やわくわくチャレンジ広場の充実に取り組んでまいりました。昨今、年度当初に多数の方から学童保育クラブの入会申請がありますが、その中には夏季休業期間の受け入れを強く希望している方もおり、夏季休業期間に安全・安心に過ごす環境への要望が高くなっております。こうした状況の中、夏季休業中の要望への対応について検証を行うため、学童保育クラブの枠組みにとらわれず、児童が安全かつ安心して、自由に遊び、学ぶことができる場を提供する新たな取り組みを試行で実施したところでございます。  次に、今回のサマーチャレンジの試行実施における各校の登録者数や参加人数等の状況及び現段階での試行実施の効果をどのように捉えているかについてのご質問にお答えいたします。  今回、二上小学校、半田小学校、宝木塚小学校の3校でサマーチャレンジを実施したところ、各校の登録児童数につきましては、二上小学校317人、半田小学校252人、宝木塚小学校183人でございました。また、1日の平均の参加児童数につきましては、二上小学校が56人、半田小学校が53人、宝木塚小学校が66人でございました。今回の取り組みについて、学童保育クラブに入会できずに困っていたが助かりましたといった声や、通いなれた学校で友達と遊ぶことができてよかったといった声もあり、夏季休業期間の要望への対応について有効なものであると考えております。また、今回の実施状況等から、各家庭のさまざまな状況を踏まえると、入退室の時間を自由にすることや自由遊びを原則とすることが保護者にとって利用しやすい実施内容であったため、多数の参加につながったものと考えております。  次に、今後、事業検証し、課題を整理しながら拡充していく必要があると考えるがどうかというご質問についてお答えいたします。  今回の取り組みは、夏季休業期間に安全・安心に過ごすことができる環境整備に向け、夏季一時学童保育とともに有効なものであると考えております。今後、アンケート調査の結果や学童保育クラブの入会状況等を勘案しながら、夏季休業期間の取り組みについて検証してまいります。  なお、夏季休業期間のみの実施については、運営事業者の確保などに課題があることから、わくわくチャレンジ広場を含めた実施体制について検討し、今年度試行実施した3校だけでなく、来年度以降の実施について考えてまいりたいと考えております。  以上でございます。 米山真吾 次に、新小岩地域の子供たちへの教育・子育て支援及びまちづくりについて質問いたします。  新小岩駅南口については、先般、46番、48番街区において準備組合が設立され、今後、再開発事業によるまちづくりの議論が進んでいきます。地権者や地域の皆さんの活発な議論が進んでいくことを大いに期待しています。  一方で、JR新小岩駅隣接の駅を見ますと、隣の駅であるJR小岩、平井駅に関しては、いずれも再開発事業が動いている、または動き出そうとしています。平井駅では0.7ヘクタールの規模で住戸数370戸、その他店舗、保育所、駐車場などが整備される予定で、既に準備組合も設立されています。また、JR小岩駅では、北・南口で4つの再開発事業のエリアが設定されており、北口について、規模は2ヘクタールで、住宅、保育所、商業、地下駐車場などが計画されていて、既に準備組合の設立と都市計画決定がされている状況です。南口では既に1エリアが個人施行の再開発事業が終わっており、2エリア目が規模1.3ヘクタールで住戸数約600戸、商業、業務、保育所、地下駐輪場などの用途が計画されていて、既に本組合が設立されています。3つ目のエリアも既に準備組合が設立されていて、再開発事業部分が1.5ヘクタールで、区画整理事業4.9ヘクタールと組み合わせて、住宅、大規模商業施設、コミュニティー施設などを組み合わせた、かなり大規模な開発を行う予定になっています。隣接する駅周辺の再開発が、最終的に住宅だけでも2,000戸以上になるのではないかと想像しています。大規模商業施設や公共施設などの用途もあわせて計画され、大量の住宅供給や多様な用途施設が隣接駅でされていくとなると、同様の手法を用いる中で同じような用途を取り入れてしまうと埋没するのではないかと懸念いたしております。さまざまな観点から差別化を図り、まちづくりをしていく必要性があるのではないかと思います。  そのためには、まず、現状の新小岩駅周辺の街が持っているポテンシャルをはかる必要があると思います。新小岩駅南口には地域の軸となる商店街があります。商業を中心とした地域であることは間違いありません。供給側のサービスの状況がどうなっているのか、また、需要側のニーズがどのようになっているのか、数値化して分析する必要があるのではないかと考えております。また、商業だけではなく、今後の人口動態や求められている機能、地域が培ってきた文化や芸術、あるいは地域活動など、さまざまな視点から現状を分析し、議論を進めていく過程の中で、共通した情報や課題をもとに議論を進めてほしいと思っております。  また、新小岩地域においては外国人の流入がふえています。2019年9月段階での区内全体の外国人数は2万2,486人で、2年前より約3,400人ふえていて、17%以上の伸び率になっています。そのうち、新小岩・西新小岩・東新小岩の3地域にスポットを当てますと、2019年9月のデータですが6,408人となっており、全体の28.5%がこの3地域に集中しています。入管法の改正もあり、今後も伸びてくるものと考えております。  外国人人口がふえれば、当然、大人だけなく子供もふえることになります。新小岩地域では松上小学校に日本語学級があり、区は都の公立小・中学校日本語学級設置要綱に基づいて位置づけを明確にしました。これによって教師の加配ができるようになり、評価しています。一方で、各児童の言語能力や学力などの差異があるため、指導体制を強化する必要性があるとも感じております。また、にほんごステップアップ教室を総合教育センターで実施されておりますが、距離の問題もあり連携に課題があります。外国人の人口増加を見きわめながら新たな拠点設置も検討する段階にきているのではないでしょうか。国家間では、文化や伝統、そして歴史認識が違うわけですが、日本の学校に来て学ぶ以上、日本の伝統や文化、歴史などを含めた教育をしっかりと受けていただき、将来日本とのかけ橋にもなっていただきたいとも思っていますし、同時に母国のアイデンティティーを持つことや、持てるようにしてあげていくことも大切なことだと思います。  また、本地域の学童保育クラブについてですが、区では基本的に学校内に学童保育クラブを整備する方向で取り組んでいますが、二上小学校は物理的な理由により整備されておらず、子供たちは離れている学童保育クラブに通わなければならない状況です。安全・安心に放課後を過ごすためにも、やはり学校内に学童保育クラブを整備することが重要であると考えます。  そこで質問をいたします。  1、JR新小岩駅の隣接駅において大規模な再開発事業が進んでいる中で、隣接地域の再開発の情報など、適宜、地権者及び関係者に対し情報共有を行い、かつ、現在の街の商業や地域の分析を行った上で、新小岩駅周辺に必要な用途・機能、また、周辺の公共施設の状況などさまざまな観点から再開発事業を進めていただきたいと思うがどうか。  2、松上小学校における日本語学級の児童数・教員等の指導体制の状況について伺いたいと思います。また、今後、児童数が増加する可能性が高いと考えます。教員のサポート体制の充実を検討すべきと考えるがどうか。  3、総合教育センターで実施されているにほんごステップアップ教室は評価しています。一方、距離の問題など連携がとりづらくなっている傾向もあり、今後、新たな拠点整備の検討も進める必要があるのではないかと考えますが、教育委員会の現状の課題認識と今後の見解を伺います。  4、二上小学校は次期改築校に選定されていますが、改築に当たって、学童保育クラブの整備に関する教育委員会の見解を伺いたいと思います。  以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。


令和元年 第3回定例会(第4日10月11日) 令和元年 第3回定例会


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