▼平成20年第1回定例会(第2日 2月27日)より、私の代表質問を掲載します。
ぜひご一読願えれば幸いです。
会議名:平成20年第1回定例会(第2日 2月27日)(代表質問・都区のあり方・教育・後期高齢者医療制度・子育て対策)
○米山真吾議員
お許しをいただきまして、私は葛飾区議会民進党議員団を代表いたしまして、さきに通告した順序に従い、区長並びに関係部長に質問するものであります。 まずは、平成20年度当初予算案及び葛飾区基本計画について質問いたします。 内閣府が2月22日に発表いたしました政府の公式の景気判断である月例経済報告では、景気はこのところ回復が緩やかになっているとの報告がなされまし た。サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速や金融資本市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることを留 意しての報告によるものであります。 本区においては、平成20年度当初予算案で、一般会計は前年度より41億7,000万円増となり、前年度比2.9%となり、2年前の平成18年度予算か ら比べますと122億円増加しておりますが、一方で、本定例会に出されております平成19年度第3次補正予算では、特別区税が5億4,900万円の減収と なっており、特別区民税現年課税分が当初見込みより下回った結果となっています。これは、企業収益が上がっている一方、1人当たりの区民の税収が減ってい ることが原因であり、現在の景気の状況及び葛飾区の現状を如実に表していることと思います。 また、一般会計予算も増加傾向とはいえ、財源の45%が財政調整交付金となっており、自主財源の大きな柱である特別区税は全体の22%程度の割合となっており、必ずしも自主自立をした財源構成ではなく、依存型と言っても過言ではありません。 ご承知のとおり、財調の原資の性質上、景気に非常に左右されるわけで、現在の増加傾向であるならばよいのですが、減少傾向に振れた場合のことも考えてい く必要があります。現行制度の中で、自立した基礎自治体を目指すには自主財源の比率を高めていくことが必要になることは言うまでもありません。 また、葛飾区は元気な子どもの育つまちを初め、さまざまな事業を行っています。まちの価値を高め、人を呼び込もう、定着させようと努力をされているわけ ですが、こういったさまざまな施策が人口の流入、流出にどう影響を及ぼしているのか、よくわかりません。 2007年の葛飾区統計書において、葛飾区の人口は30年近く42万人から43万人の間を推移しており、余り大きな変化はありません。お隣の江戸川区 は、平成10年から平成19年の9年間で約4万6,000人増加していますが、本区においては約8,000人の増加ということで、増加比率から見ると施策 を行った結果としては、葛飾区のまちとしての価値がまだまだ評価されていない、あるいは、浸透していないのではないかと感じます。施策と人口の流入、流出 の連動性をしっかりと見極め、今後のまちの価値を高めるための区政運営に反映していく必要があります。 そこで質問いたします。 (1)道路特定財源の一般財源化、地方分権等、国会で財源のあり方が議論されていますが、葛飾区は必ずしも自主財源の構成比率が高くなく、財政調整交付金 の割合も45%と高く、依存型になっている。現行制度の中においてこの構成比率を変えていくことが自立した基礎自治体になるものと考えるが、区の今後の自 立した基礎自治体へ向けての財政運営について見解を伺いたい。 (2)平成19年度第3次補正予算では、特別区税が5億4,900万円の減収となっており、これは特別区民税現年課税分が当初見込みより下回った結果と なっており、区民の1人当たりの税収が減ってきたことを意味している。平成20年度一般会計予算の特別区税については2.3ポイント増を見込んでいるが、 区の見解を伺いたい。 (3)葛飾区基本計画に掲げる元気な子どもの育つまちを初め、さまざまな事業を行っています。例えば、子育て支援策として、区は中学3年生までの医療費無 料化や、今回予算案に出てきていますが、妊婦健診の回数をふやすなど、子供を産みやすい、育てやすい環境を整える施策を打ち出し、まちの価値を高め、人を 呼び込もう、定着させようと努力されています。区の政策が人口の流入、流出にどう影響を及ぼしているか分析する必要があると考えるが、転入、転出の際に政 策評価のアンケート等をとり、分析し、政策及び方向性の指針となるような調査をすべきと思うがどうか。 次に、都区のあり方についてお伺いいたします。 現在、都と区で都区の新たな役割分担や効率的な行政の実現を図り、互いに協力して、東京の自治のあるべき姿を確立するために検討されている最中ですが、 一方で、国のほうでも道州制ビジョン懇談会において地域主権型道州制の導入に向けて議論を進めているわけですが、東京に対する一極集中に対しても警鐘を鳴 らしており、どのような結論が出てくるのか注視していく必要があります。 この道州制ビジョン懇談会において、2015年から2020年までに地域主権型道州制を導入していくという一定のスケジュールが示されておりますが、道 州制ビジョン懇談会では、道州、市町村という2層制にすべきとの議論がなされており、一方で都区のあり方検討会では、都と区の2層制を前提に議論が進めら れているので、国からこのような形で結論がでてきた場合に危惧するところであります。 都と区の間の議論では、第9回都区のあり方検討会において、一つの事例として、上下水道の事務配分をどうするかという検討がなされておりますが、都側は 都がやるべきものと主張し、特別区側は特別区でできると主張していますが、一方で、区域については再編の必要性が薄いと主張しているわけですが、都側では 都区の事務配分については都の事務を特別区に移管する場合は、特別区全体で一部事務組合または広域連合をつくって移管の受け皿とする考えはとらないとして おり、このあたりをどう解決していくのか展望が見えてきません。 現状において再編の必要性というのは余り感じませんが、議論がなされている以上、いずれの時期に方向性を示していく必要が出てくるものと思います。本区の今後の方向性をお聞きしたいと思います。 そこで質問をいたします。 (1)都区のあり方検討会において具体的な事務配分、区域のあり方、それを踏まえての整理を、今年の第4四半期において基本的方向を取りまとめるというスケジュールになっていますが、現在の取り組み状況を伺いたい。 (2)第9回都区のあり方検討会幹事会において、事務配分については、特別区側は積極的に特別区が担うようにし、一方、区域のあり方については再編の必要 性は薄いと主張しているが、区域はそのままで特別区が相互補完的な関係をとっていくという形になっていくのか、区長が考える特別区のあり方、今後、葛飾区 としてどのようなビジョンや方向性を持って議論していくのか、考えをお聞かせいただきたい。 次に、教育についてお伺いいたします。 文部科学省では、本年1月17日の中央教育審議会答申の幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善についてを受け、学習 指導要領改訂の作業を進め、2月15日に、幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の改訂案を公表いたしました。この改訂によって、 30年ぶりに、主要教科を中心に授業時数と内容をふやした脱ゆとり教育のカリキュラムが示されました。授業時数は小学1年生が68時間増、2年生が70時 間、3年生から6年生までが35時間と、全体で改訂前より278時間増となりました。中学校は1年生から3年生まで各35時間増となり、全体で改訂前より 105時間ふえることになります。 また、この改訂により、小学校5年生、6年生においては外国語活動が新設、中学校においては武道が必修化、そして教育基本法の改正を受け、公共の精神や 伝統文化の尊重、体験活動などが盛り込まれ、道徳は教材を充実し、校内で道徳指導の中心となる道徳教育推進教師を新たに任命するなどのさまざまな新しい取 り組みが示されました。ある意味、今、教育は大きな変革期に差しかかっていると言っても過言ではありません。 文部科学省が示しているスケジュールによると、平成20年3月中旬までパブリックコメントを行い、3月末告示。平成21年4月1日から幼稚園については 施行し、小学校、中学校においては先行実施することが示され、最終的な全面施行については、小学校は平成23年、中学校は平成24年となっております。先 行実施については教科書改訂を伴わずにできる授業は行っていくとのことですから、来年から、全部ではないにしろ、本区においても大きな影響が出てくるわけ でございます。 そこで質問いたします。 (1)道徳教育推進教師を新たに任命すると新学習指導要領で示されましたが、新たに人材の確保を行っていくのか、あるいは、現在の体制で兼務していくような体制をとっていくのか、効果活用を含めて見解を伺いたい。 (2)現在、本区においては授業時数を確保するため、夏季休業日の短縮を行っていますが、今回の改訂を受けて授業時数が、週当たりのコマ数が1時間から2時間とふえているが、夏季休業日短縮についてどのように考えているのか伺いたい。 (3)中学校において武道が必修化することが打ち出されているが、年間15時間ほど割り当てられることになると考えられるが、課題となる教員の確保や武道場の整備、武具の購入など、環境整備についての考えを伺いたい。 また、本区ではモデル校として1地域2校を選定し、小中一貫教育の推進に向けて検討を重ねておりますが、メリットとしては9年間の連続したカリキュラム のもとで、児童生徒の発達段階に応じた学習が可能になることや、小中学生の幅広い交流を通して豊かな社会性や人間性を培う環境ができたり、教職員の協力関 係を築くことができるなどが挙げられ、新たな教育モデルとして大いに期待をするものでありますが、課題もあります。 学級担任制から教科担任制への移行をどうするか、また、学校選択制がある中で、現在、通学区域以外の学校を選択したケースは中学校で25.5%に達して いることから、このままの制度でいくと別の小学校から新しい生徒が入ってきて小中一貫が薄まってしまうのではないかという問題などが挙げられます。 そこで質問いたします。 (1)平成20年度においてモデル校を1地域2校、研究校4地域8校選定し、小中一貫教育を推進していますが、現在の取り組み状況を伺いたい。また、この 事業が実施された場合、24校中5校となり全体の20.8%を占めるわけですが、学校選択制がある中で現在通学区域以外の学校を選択したケースは中学校で 25.5%に達していることから、このままの制度でいくと他の小学校から新しい生徒が入ってきて、小中一貫という趣旨が薄まってしまうのではないかと危惧 するが、学校選択制との整合性はどのように考えているのか伺いたい。 次に、後期高齢者医療制度についてお伺いいたします。 平成20年4月から、新たに75歳以上の高齢者を対象にした後期高齢者医療制度が始まります。この制度は被保険者一人一人が保険料を支払うことになって おります。東京都広域連合は、保険料を軽減すべく、各区市町村から一般財源を投入して全国で一番安い保険料となっており、これについては一定の評価をいた しますが、今後、高齢者がふえることは間違いなく、今後の保険料の維持するために一般財源が増加傾向で投入されていくと、一般施策に影響が出るのではない かと危惧を覚えます。 国民健康保険で被扶養者になっている方も、従前は被扶養者の分も世帯主が支払いをしていたわけですが、今後は保険料をみずから支払うことになり、負担感 が増すことは否めません。また、75歳という年齢で区切られることから、例えば高齢者同士の世帯の場合で扶養、被扶養の関係にあったとすると、76歳と 74歳の夫婦がいた場合は、76歳の方は後期高齢者医療制度に入り、74歳の方は国民健康保険に加入することになり、制度的に切りかわるなど、高齢者に とって複雑さを感じるものと思います。 そして、今回の保険料の納付方法が年金から天引きされるということになるわけですが、このことについては抵抗感が強く感じられるものと推察されます。国 から下りてきた制度とはいえ、区民生活の身近な自治体として、このことについては丁寧な説明と理解をしてもらう努力が必要だと思います。 また、後期高齢者という名称についても、区民の皆様方から、後期とはどういうことなのか、後期ということはもう終わりという意味か、死ねということなの かなどと、私も厳しいご意見を伺っているところですが、いかにも官僚的な文言です。(「そうだよね」との声あり)国からの名称ですから変更はできないにし ろ、本区においてはパンフレット等、区民サービス提供時においては高齢者に十分配慮した形の名称も掲げてみてはどうかと思います。 区長も1年後には後期高齢者に入るとお聞きしております。後期と言われてしまうことをどのようにお感じでしょうか。本区においては、高齢者に優しく配慮 した周知理解や親切で丁寧な相談窓口を提供していただきたいと思います。そういう区民に密着した小さな積み重ねが区の評価につながってくると思います。 そこで質問いたします。 (1)東京都広域連合は、保険料を抑えるため、区市町村の一般会計からの財源を投入しているが、本区の負担はどの程度になっているか伺いたい。また、少子 高齢化の人口社会構造の中、今後被保険者が増加していくことなるが、保険料の軽減維持のための一般会計からの投入財源も増加していくと考えられるが、区の 見解を伺いたい。 (2)年額18万円以上の年金受給者は原則として天引きされることになっているが、本区においては影響を受ける被保険者がどの程度いるか伺いたい。また、 このことは充分な周知理解を求める必要があり、混乱が予想されます。相談窓口の強化及び対象者一人一人の支払い事情に応じての通知、連絡等をし、周知理解 を図るべきと考えるがどうか。 (3)後期高齢者という名称に抵抗を感じる声が多い。事業名称は構わないが、区民サービス向けには葛飾独自に違う名称を掲げていくことも必要ではないかと考えるがどうか。 次に、子育て支援について伺います。 今回の平成20年度予算案概要を拝見して、子供を多く持つ保護者が安心して子育てができるよう、認可保育園や家庭福祉員、区立幼稚園で保育されている第 3子以降の保育料について無料にするという施策を見て、大変評価いたしました。妊婦健診も回数を増加し、安心して子供が産め、そしてたくさん子供を産んで も安心して育てられるような環境が整えられてきているなと感じました。 しかし、細かい部分を見ていきますと、適用を受ける対象の方が就学前の保育園等に在籍する児童の中での長幼順による3番目の児童ということで、就学前ま での6年というスパンの中で3人子供がいなければならないということですから、適用対象が少ないのではないかと思います。ですから、無料と聞いて問い合わ せてみたものの適用外の方が多く、逆に失望感のほうが高まってしまうのではないかと危惧するところです。私は、第3子であれば適用制限はないほうがよいと 思いますが、財源の問題もありますので少しでも緩和していただきたいと思います。 せっかく新規及び拡大という形で事業を行うわけですから、葛飾区が子育て支援に力を入れている姿勢を見せることが必要ではないかと思います。 そこで質問いたします。 (1)多子世帯における保育料等の軽減等について、第3子の保育料の無料等軽減措置を行う予定となっているが、対象者はどの程度いるのか伺いたい。 (2)多子世帯における保育料等の軽減等について、現行の負担軽減策よりも一歩踏み込んだ軽減策を実施することについては評価するが、実際に適用される方 は少ないのではないかと考える。より葛飾区が子育て支援に力を入れている姿勢を見せる必要があると考えるが、支給対象が就学前の保育園等に在籍する児童の 中での長幼順による3番目の児童という制限を、財源が許す範囲で緩和すべきと思うがどうか。 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○(青木勇区長)
米山議員のご質問にお答えいたします。
ご質問にありますように、平成20年度一般会計の歳入に占める財政調整交付金の割合は45%でありまして、特別区税の22%を大きく上回っております。 葛飾区は、景気の影響を強く受ける家内工業などを中心とした企業が多く、必ずしも担税能力の高い区民が多く住まわれているとは言い難い状況にあることか ら、その歳入構造は財政調整交付金に依存せざるを得ない状況にございます。 こうした状況の中でも、基礎自治体としてどのような社会経済状況の変化にも柔軟に対応できる財政基盤の確立を図っていく必要があるわけでございます。そ のために、本区では、事務事業の見直しや職員定数の削減など、経営改革に不断の努力を重ねた結果、18年度決算における経常収支比率は、15年ぶりに 60%台となるなど、柔軟性の高い財政基盤の確立に努めてまいりました。 しかしながら、区の将来を見据えた新たな行政課題に適格に対応できる区政運営を行うためには、歳出構造の改革を今後も引き続き行うことはもちろんのこ と、自主財源である区税収入を上げていく取り組みがこれまで以上に重要な課題となっていくと考えております。そのためには、区民生活全体のレベルアップを 図るのはもちろんでありますが、多くの区外の人々が葛飾区に住みたいと思える魅力のあるまちづくりを進めることが必要でございます。基本計画に掲げた区民 と創る元気なかつしかの実現に向けた取り組みをより一層推進して、区のイメージアップを図っていく必要があると考えております。 こうした取り組みにより、長い年月を要するとは思いますが、担税力のある生産年齢人口が集い、自主財源である区税収入が増加する強固な税収構造を確立していくことが可能となっていくものと考えております。 次に、予算に関するご質問にお答えいたします。 先ほどお答えしたものとの繰り返しになりますけれども、今回の補正予算の要因は、19年度分の課税分の全納税義務者の8割超を占める課税所得額10万円 から400万円までの階層で、1人当たりの平均所得金額が前年を下回ったことから、19年度課税分の納税義務者1人当たりの負担額が普通徴収で2,800 円、特別徴収で3,500円、当初予算の見込みを下回って5億4,900万円の減となったものであります。 一方で、平成20年度当初予算は、前年度と比較して、人口増に伴って納税義務者が3,600人ほどふえるという中で、普通徴収はサブプライム住宅ローン 関連の影響によって、株式譲渡等の分離課税分が減となりますので、1億100万円の減と見込んでおります。特別徴収は、予算経理上、19年度課税分の平成 20年4、5月分が20年度当初予算に計上され、税率フラット化の影響も平年度化されたといったような状況から、7億8,500万円の増と見込んだわけで ございます。この結果、特別区税総体としては、2.6%、7億4,300万円増の297億800万円を見込んでおります。今回の補正後の予算と比較します と4.5%、12億9,200万円の増となっているわけでございます。 軽自動車、特別区たばこ税、入湯税を含めた特別区税総体としては、前年度比2.3%は、7億4,647万円増の328億6,295万円を見込んでおります。 また、特別区民税予算について、当初予算では、前年度課税分の課税所得から経済指標予測等の不確定な要素を用いて税収を推計しているわけでございまし て、一方で、補正予算では、一定時期の調定額から決算見込みを算定しておりますので、当初予算との間には、ある程度の乖離が出て来ざるを得ないということ がございますので、ご理解ねがいたいと思います。 次に、まちの価値を高めて人を呼び込み、定着をさせるために区の政策が、人口の流入、流出にどのような影響を及ぼしているのか、調査、分析すべきであるというご質問にお答えいたします。 葛飾区では、これまで、中長期にわたる計画を策定するに当たりましては、人口統計や人口動態の数値を活用して、政策の方向性を定める上での指標として活 用してきたところであります。お話にありますとおり、例えば、子ども医療費の助成範囲の拡大や妊婦健診の充実なども、人口構造と具体的施策とが密接に関連 してくることから、施策を決定する上で、人口の流入、流出についての調査分析を行うことが重要な判断要素となっていると考えております。また、窓口でアン ケート調査などを行うこともリアルタイムに区に求められる施策を把握するためには、有効な手段の一つであると考えます。 平成20年度は、基本計画に基づく実施計画の見直しの年に当たっておりまして、その中で人口推計や人口動態をより正確に把握する方法や、政策及び方向性 の策定に活用していく方法をさらに研究し、より明確な区の将来像をとらえていくことで、区民の皆様に、魅力ある元気な葛飾を実感していただくことはもちろ んのこと、区外の人々からも、住みたいと思われるような計画をつくってまいりたいと考えております。 次に、都区のあり方についての現在の取り組み状況についてでございます。 ご案内のとおり、都区の事務配分、区域のあり方及び税財政制度の検討を行うため、昨年の1月31日から都区のあり方検討委員会が開始されました。これま でに3回の検討委員会及び9回の検討委員会幹事会が開催されております。具体的に今年度は、現在、東京都が担っております上下水道事務など9つの事務につ きまして、区側は移管すべき事務を選定するための基準に則って、区で担う事務として提案したところでございますが、都側は、東京都で実施している以上のメ リットを示す必要があるという理由から意見調整がつかず、区域のあり方も含めて都区協議が当初のスケジュールからおくれている状況であります。 今後、4月の幹事会再開に向けて、区側、都側で検討内容について調整していくこととなっておりますが、いずれにいたしましても、区民に身近な行政サービ スを可能な限り特別区で実施できるよう、まずは事務配分について十分な議論が欠かせないものと考えております。 次に、今後の特別区のあり方、区としてのビジョンや方向性について申し上げます。 特別区長会が調査研究を依頼しておりました第二次特別区制度調査会報告が昨年末に出されましたけれども、この報告では、特別区は特別地方公共団体の性格 は有したままで、都の区という法律上の概念を取り払って、真に独立した基礎自治体同士が、対等、協力の関係の上に立って、大都市東京における市が行う事務 をすべて23区で担っていこう、そして、その財源は23区で配分し合おうという基礎自治体連合構想というものを打ち出したものでございます。 新しい考え方を含むものでございます。こうした考え方が23区の総意として担っていくことができるかどうかの検討を、現在、区長会で行っているところで ございます。私といたしましては、積み残された課題も含めて、未完の平成12年の改革の早期実現を果たすことを優先として、各区の自主性が発揮できて、な おかつ、現在の23区のサービス水準を維持できる仕組みをつくるよう、建設的な議論を進めるべきであると考えているわけでございます。 今後につきましても、都区の検討状況により区民生活にいささかも混乱を招くことのないよう、区議会の皆様のご意見をいただきながら、慎重に検討してまいりたいと存じますのでよろしくお願いいたします。 続いて、多子世帯における保育料の軽減等についての質問にお答えいたします。 今回実施いたします保育料の軽減措置は、保育園等に3人以上お子さんを預けている場合に、認可保育園で3人目以降の子は最高で4万250円の保育料とな りまして、保育料の負担が大変大きいということから実施する計画をしたものでございます。対象となる第3子以降のお子さんは、現在、126人と見込んでお ります。決して数は多くはございませんけれども、保育料の負担を軽減することの効果は大きいものがあると考えております。 無料化の対象の拡大については、国の保育料徴収基準表というものがありますが、それの推移、あるいはまた、本区の財政状況、あるいはまた、他区の動向 等々を勘案して、多子世帯の経済的負担の軽減策の一つとして、今後検討してまいりたいと考えております。 その他のご質問については、教育長と所管の部長から答弁いたさせます。
○(山崎喜久雄教育長)
始めに、道徳教育推進教師 についてのご質問にお答えいたします。
子供たちが思いやりの心を持ち、規範意識や社会生活の基本的なルールを身につけ、児童生徒の豊かな心の育成を図るためには、道徳教育の充実を図ることが 重要であります。そのようなことから、政府の教育再生会議では、道徳の教科化について強く提言しておりました。今回の学習指導要領の改訂案では、道徳の教 科化は見送られましたが、道徳教育のポイントの一つとして、各学校で道徳教育推進教師を任命し、これを中心に全教員が協力して道徳教育を推進することが記 述されております。 教育委員会といたしましては、こうした趣旨に沿って、各学校で道徳教育推進教師を置くように指導するとともに、道徳教育推進教師が中心となって道徳教育 を推進できるよう、校内での体制づくりを支援してまいりたいと考えております。 そして、より有効で具体性のある道徳教育を推進するため、全体計画の作成や指導方法の手引などを作成するともに、道徳教育推進教育を対象とした研修会を 開催し、教師の資質、能力の向上を図ってまいりたいと考えております。 次に、授業時数の確保と夏季休業日の短縮についてのご質問にお答えいたします。 本区では、現行の学習指導要領においても、授業時数を確保するための方策として、教育振興ビジョンに基づき、夏季休業日の短縮を行ってきました。夏季休 業日の1週間短縮により、小学校では23から27時間、中学校では約30時間の授業時数を確保することができました。しかしながら、ご質問にあるように、 新しい学習指導要領では、小学1、2年生においては週2コマ分、年間70時間。3年生から6年生と中学校では週1コマ分、年間35時間増加することとして おります。教育委員会といたしましては、現在の夏季休業日の短縮に加え、週のコマ数の増加や土曜日等の活用などにより授業時数を確保することについて、今 後、検討してまいりたいと考えております。 次に、中学校体育の武道必修化についてのご質問にお答えいたします。 新しい学習指導要領では、武道を中学校の1、2年ですべての生徒に履修させることとしております。これは、武道の学習を通じて、我が国固有の伝統と文化に 触れるとともに、基礎的な身体能力や知識を身につけさせるものであります。現在、区内の中学校では、24校中18校が体育の時間に武道を選択して授業を 行っております。また、実施していない他の学校においても、保健体育の教員が武道を指導できる力量があるため、全校で武道を指導できる状況にあると考えて おります。 しかしながら、武道場の整備や武具をそろえるといった面につきましては、いまだ不十分な状況であります。教育委員会といたしましては、武道の必修化に向 けて、指導方法や指導内容について充実を図るとともに、必要な条件整備についても今後十分に検討してまいりたいと考えております。 次に、小中一貫教育の取り組み状況についてのご質問にお答えいたします。 葛飾区教育振興ビジョンに基づいて、平成16年度より、隣接する区内5カ所、10校の小中学校で、小中連携についての研究を進めてまいりました。その成果 を踏まえ、昨年9月に小中一貫教育検討委員会を立ち上げ、小中一貫教育についての具体的な検討を行っており、早ければ平成22年度の小中一貫校開校に向け て準備を進めているところでございます。平成20年度は、松上小学校と新小岩中学校を小中一貫教育モデル校として、また、他の4カ所を小中一貫教育研究校 として、小学校での英語教育や教科担任制、小学校高学年の部活動への参加、小中合同の学校行事の実施など、小中一貫教育についての研究や実践をさらに行っ てまいりたいと考えております。 また、小中一貫校と学校選択制との関係についてでございますが、小中一貫校を設置した場合、小中一貫教育に対する区民の期待から、小学校を選択する段階 で小中一貫校に希望が集中することも予想されます。また、一貫校となる小中学校で、学区域が重なっていないことから、中学校は別の学校が指定校になるなど の問題があります。教育委員会といたしましては、今後、小中一貫校を進めるに当たっては、こうした学校選択制との関係や、学区域との整合性についても十分 検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○(西村政次福祉部長)
東京都後期高齢者医療広域連合に対する保険料軽減のための財源負担についてお答えいたします。
始めに、保険料軽減のための本区の負担額でございますが、診査支払手数料、財政安定化基金拠出金、保険料未収金補てん分負担金、保険料所得割額減額分の 4項目の負担金をあわせまして2億5,764万円でございます。また、保険料の軽減維持のための今後の一般会計からの投入財源の増加に対する区の見解につ いてのご質問でございますが、今回の保険料軽減策は、特段の財政措置を講じない場合の保険料が、現行の国民健康保険料と比較して大幅な負担増となることか ら、平成20年度及び21年度の2年間の時限的対応として行われたものでございます。後期高齢者の保険料は2年ごとに算定されますが、平成22年度以降に つきましては、国の調整交付金の100%交付や、東京都への一層の財政支援を要請することにより、保険料の軽減に努めるとともに、一般財源の投入について は、算定された保険料が高齢者の生活に及ぼす影響や区の財政状況などを踏まえ、東京都の広域連合を構成する62区市町村において協議してまいりたいと考え ております。 次に、保険料のいわゆる年金天引きについてお答えいたします。 現時点で、国の推計から予測いたしますと、高齢者の約7割、おおむね2万8,000人程度の方が保険料の年金天引きの対象になると考えております。本区で は、広報紙などによる広報のほか、平成20年3月より、区内8カ所での説明会の開催を初め、周知や相談の期間に余裕をとるために、年金からの天引きの開始 を10月から開始することといたしました。保険料を決定する7月には、個別の通知に説明のチラシを同封するなど、きめ細かく対応してまいります。また、個 別の相談につきましても、国保年金課の窓口改善の中で工夫し、混乱のないよう努めてまいります。 次に、後期高齢者という名称について、葛飾区独自に違う名称を掲げていくことも必要ではないかとのご質問にお答えいたします。 後期高齢者の名称は、このたびの高齢者医療制度の創設に伴い、65歳以上の高齢者を前期と後期に分け、75歳以上の高齢者の名称として新たに設けられたも のと認識しております。このように、この名称は、法律上の事業名として使用されているとともに、本区の後期高齢者医療事業は都内のすべての区市町村が参加 する広域連合と一体となって実施しておりますので、本区独自に違う名称を使用することは、事業を利用する区民に誤解や混乱をもたらすおそれがあります。し かしながら、この名称に抵抗があるというご指摘でございますので、ご趣旨を踏まえ、広域連合に伝えてまいりたいと存じます。 以上でございます。
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