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2005年12月7日 葛飾区議会一般質問





▼ 今回初当選をさせていただきました米山真吾です。今回、私のような新人が質問に立つ予定ではございませんでしたし、想像もしておりませんでした。しかし 今、大変な問題が世間をにぎわせております。皆さんもご存じと思いますが、連日テレビでも流れておりますマンションの構造計算書偽造問題でございます。

 私は、今回の選挙でも、自分のキャリアでもございます建築士としての視点をもって、葛飾区のまちづくりに取り組むお約束を区民の皆様方にしてまいりまし た。自分が持っているキャリアの上でもこの問題を取り上げなければならないと思い、今回質問に立たせていただきました。初めての質問で大変お聞き苦しい点 が多々あると思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

▼それでは、一般質問に入らせていただきます。姉歯建築設計事務所の構造計算書偽造問題が連日マスメディアをにぎわしております。社会的な信用や信頼を当 然得るべき国家資格である1級建築士が、事もあろうことか建築物の構造を、耐震基準の一部ではひどいものでは3分の1しか確保されないような偽造を行った ことについては大変残念です。マンションディベロッパーなどの業界や建築・建設業界など、現在まで消費者の皆様に対して培ってきた建築物に対する信用や信 頼が崩壊しつつあります。また、建築確認申請の制度や罰則規定など、そのものにも疑問が投げかけられております。

▼今回、姉歯建築設計事務所が構造計算書を偽造したことが一番の問題であることは間違いありません。しかし、本来水際で防ぐべく審査の過程で偽造が見抜け なかったことも重要視しなければなりません。偽造が判明した建築物には多数の分譲マンションが竣工されており、長期の住宅ローンで一生に一度と言われてい る念願のマイホームを購入した住民の皆様の財産や安全が失われようとしております。

 区では、既にホームページに相談窓口や耐震上の問題のある建築物はないと広報を行っておりますが、私のところには区民の皆様方から、自分のマンションは どうなのだろうか、大丈夫なのだろうかという不安の声の問い合わせが多数来ております。(「何件」との声あり)やはり話を伺って感じることは、もう少し詳 しい情報が欲しいとの要望が強く感じられます。(「何件来ているんだ」との声あり)

▼私はまず、この区民の皆様の不安を取り除くため、今回、三つのポイントから質問させていただきたいと思います。  まず一つ目は情報開示です。

 情報が不足することによって不安の増大というものが懸念をされます。まずは姉歯建築設計事務所の物件、ヒューザー、シノケン、木村建設、イーホームズの物件についての調査・検査状況を伺いたいと思います。

 どれくらい上記の会社が関与した物件がこの区内でもあるのかないのか、そしてそれに対してどのような調査・検査をしたのか、問題があるのかないのかをお尋ねしたいと思います。

 そして、これらの調査・検査結果を、相談窓口や区報だけではなく、公共施設への掲示や自治会などへの情報提供など、積極的に区民の皆様方に情報公開すべきだと思いますが、ご見解を伺いたいと思います。

▼また、あまり指摘されていないようですが、設計図書の保存期間についてお聞きします。  葛飾区の設計図書保存期間は3年です。しかし、こういった問題が保存期間を過ぎた後起こった場合に、資料がほとんどなく、問題の検証ができないという現 状は問題だと思います。例えば、瑕疵担保保証の10年という期間に合わせることも必要ではないでしょうか。マイクロ化やスキャンによるCD-ROMなどの 記憶媒体にデータを保存することによって、保管場所の軽減をしながら保存期間の延長を提言したいと思います。

 二つ目のポイントは耐震診断の充実 です。 先ほど述べました、自分のマンションはどうなのだろうか、大丈夫なのだろうかという区民の皆様の声に応えるべく、耐震診断についても積極的に取り組んでい く必要があると思います。昨日の新聞報道でも、不動産の売買においても、昭和56年以前の耐震診断とアスベストの検査の情報開示が求められてくるとの報道 がありました。それに先駆けて、昭和56年以降の耐震診断での非木造での耐震診断助成金制度の対象の拡大を行っていくことによって、より耐震診断がしやす くなるというふうに考えますが、ご見解をお伺いしたい。

▼三つ目のポイントはチェック機能です。

 平成10年に民間の確認審査指定機関の制度が導入をされ、自治体のチェックが入りにくくなっております。かつ、延べ床面積1万平米以上についての建築物 の審査は東京都の方で行われます。しかし、実際の建設物は区内に建築されるわけですから、区民の財産と安全を守るという観点からも、区としても制度に改善 の余地や不具合があるのであれば、制度改正の要望を上げるべきだと思いますが、現在の指定確認検査機関における建築確認申請の検査制度について、区として の是々非々の見解をお伺いしたいと思います。

▼また、建築確認での検査における人的不足が審査漏れの原因だと、イーホームズの国会での参考人招致で述べられておりました。私も建築士の立場として外側 から建築課の皆さんの仕事を見ておりましたが、やはり人数が足りていないなと、そういう感じを覚えております。東京都でも、年間7,000件以上の建築確 認があるにもかかわらず、主事さんは11名ほどでやっていると、量的に不足していることが指摘をされております。

 今回、民間の指定確認検査機 関が不祥事を起こしたわけです。今後は自治体に直接多くの建築確認申請が持ち込まれてくることは明白だと思います。区民の財産や安全を守るためにも、区で も建築申請等の専門性の高い部門については専門家の増員をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。ご見解を伺いたいと思います。

▼住宅を購入される方たちは、通常30年以上のローンを組んで購入されます。一生に一度の買い物でもあるのです。私も35年の住宅ローンを組んでおりま す。これが一瞬のうちに財産として価値がなくなってしまったら、また安全が確保できないようになってしまったらと思うと、ぞっとします。どうか区民の皆様 の不安が払拭できるような具体的なお答えをしていただきますようお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

▼(青木 勇区長)

 米山議員のご質問にお答えをいたします。

 マンション耐震偽造問題についてでございます。

 直下型大地震の発生が予測をされる東京におきましては、地震に強い建物を建築することが必要でございます。建物の耐震強度を偽造するような行為は、区民の生命や財産等が危険にさらされる重大な問題であると考えております。

 このため、事件が発覚した後、本区では東京都等との連絡を密にしながら、耐震強度が偽造された建築物が区内にあるのかについて情報収集に当たりましたけれども、現在のところ、耐震上問題のある建築物は確認をされておりません。

 しかしながら、建物の耐震性については多くの区民の皆様から問い合わせ等が寄せられております。そこで、皆様の不安を軽減するために、相談窓口 を設置して耐震強度に関する情報や建築確認とその検査制度等についてご説明やご相談に応じておりまして、今後もまたこうした方法で、安全・安心な住宅の確 保が図られるように努めていきたいと考えております。

 具体的な問題につきましては、所管の部長から答弁をいたさせます。

▼(秋田貞夫都市施設担当部長)

 マンション耐震偽造問題についてのご質問にお答えいたします。  初めに、本区における姉歯建築設計事務所及びヒューザー、シノケン、木村建設、イーホームズが関与した物件についての調査状況、検査状況と、区民に対し て積極的に情報提供すべきとのご質問にお答えいたします。

 本区では、マンション耐震偽造問題が発覚後、区民生活の安全性にかかわる建築物がないか確認するため、急遽、保存設計図書や建築計画概要書の調査を行っ たところであります。また、11月下旬には、千葉県が行った立入調査結果を受けて東京都からも情報の提供があり、改めて調査を進めているところでありま す。現在のところ、耐震上問題のある建築物は確認されていない状況であります。

 なお、区民への情報提供につきましては、耐震上問題のある建築物が明らかになった場合には、居住者や利用者、周辺住民の方々の安全確保を第一に考え、適切な情報提供を行ってまいります。

 さらに、こうした調査に係る設計図書の保存期間につきましては、建築確認後3年間を保存期間としておりますが、現在、国では保存期間について再検討を始 めたところであり、今後、国の検討状況を踏まえ対処してまいります。  次に、区民の不安を解消するため、非木造住宅への耐震診断助成金制度の対象拡大をすべきとのご質問にお答えいたします。

 非木造住宅への耐震診断助成制度は、阪神・淡路大震災を教訓として、昭和56年以前に建設された耐震上問題のある建築物を対象に、平成7年度より事業を行っているところであります。

 このたびの耐震強度偽造事件にかかわる住宅やマンションの耐震性については、販売業者や設計者等がまず構造の安全性について再確認するとともに、居住者 などの関係者に説明をし、理解を得るべきであると考えており、現在のところ助成制度の対象拡大は考えておりませんが、今後につきましては国等の検討状況を 踏まえて対処してまいります。

 次に、指定確認検査機関による建築確認申請の検査制度に対する区の見解を伺いたいとのご質問にお答えいたします。

 民間の指定確認検査機関制度は、阪神・淡路大震災を教訓に、建築確認業務の機能強化を図るため取り入れられた制度で、より効率的、効果的な建築行政の執 行を図るものであります。したがいまして、今後ともこの制度の継続を図り、行政と民間検査機関が連携をとりながら、建築行政の実効性を高めていく必要があ ると考えております。

 次に、本区でも建築確認等専門性の高い部門における専門家の増員をすべきとのご質問でありますが、現在の民間検査機関の確認制度を前提とした場合には、 本区の体制は適切な規模でありますが、今後につきましては、国における民間検査機関への指導監督体制強化の検討動向も見守ってまいりたいと考えておりま す。

 また、職員の専門性につきましては、建築士の資格を持ち、経験豊富な職員を配置するとともに、積極的に研修などへ参加させることで技術力の向上に努めているところでございます。

以上でございます。

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