▼平成29年第1回定例会より、私の発言を掲載します。 ぜひご一読願えれば幸いです。
開催日:平成29年 2月23日 平成29年 第1回定例会 一般質問(ふるさと納税・公契約・公共交通・都市計画マスタープラン)
○No.69 米山真吾議員
お許しをいただきまして、私は葛飾区議会民進党議員団を代表いたしまして、さきに通告した順序に従い、区長並びに関係部長に質問するものであります。 初めに、ふるさと納税と寄附文化の醸成について伺います。 ふるさと納税は、国が平成20年度に創設したもので、都道府県・市区町村に対して寄附をすると、寄附額の内2,000円を超える部分について一定の上限まで原則として所得税・個人住民税が全額控除される制度で、現在では返礼品を送る自治体もあり、年々利用される方も多くなってきています。寄附先はどこの自治体でも構わないのですが、個人住民税の控除は居住しているところからとなりますので、葛飾区民が他の自治体に寄附をすれば葛飾区の個人住民税が控除されるので、葛飾区の歳入が減ります。影響額が大きくなれば、それだけ住民サービスにも影響する可能性があります。 昨年の代表質問でお尋ねしたところ、平成21年度では200万円だったものが、平成27年度では3,500万円まで影響額がふえてきております。既に住民税の控除額が所得割額の1割程度から2割程度と拡大され、さらにワンストップ特例制度も導入され、年間5自治体までならば確定申告をしなくてもよくなり手続も簡略されていることから、利用される方がさらにふえるものと予想されます。先ほども述べたとおり、他の自治体へのふるさと納税額がふえれば葛飾区の歳入が減るわけでありまして、歳入が減れば区の施策へも影響が出るわけであります。 特別区長会では、税源偏在について国に対して是正するよう主張しています。ふるさと納税については、寄附を建前としながらも税源偏在是正の目的であることが垣間見え、また、各自治体が用意した豪華な返礼品目当ての寄附がふえる構図となっており、ふるさと納税の本来の趣旨に立ち返って考えるべきとの主張です。これは当然の主張であり、特別区側からすると正論であります。しかし一方で、このふるさと納税制度を活用して取り組んでいる区も8区あると聞いております。 区長は、夢と誇りあるふるさと葛飾基金を創設して寄附の受け皿を整備して取り組まれてきました。この取り組みについては評価しておりますが、歳入への影響なども考慮すると、国に対して主張するべきところはしながらも、ふるさと納税制度を活用していくことも検討するべきではないかと思います。 また、注目するのはガバメントクラウドファンディングという手法です。クラウドファンディングとは、不特定多数の人たちがインターネットを経由して組織などに資金の提供や協力をすることですが、その自治体版です。他の自治体の事例を見ますと、墨田区がすみだ北斎美術館の設立支援を募ったり、氷見市ではハンドボール大会の存続のために支援を募ったり、犬の殺処分ゼロプロジェクトへの支援を呼びかける自治体もあり、各自治体が創意工夫しながら寄附を募っています。寄附金額にはばらつきがありますが、そういった取り組みを行いながら自治体の歳入を補完し、また、その事業やプロジェクトに寄附を通じて参加意識の向上や地域への愛着、文化の醸成なども図られていくのではないかと思います。この意識の向上が図られることによって、区長が進める協働の推進にもつながるではないかと考えます。昨年のご答弁では、対象事業なども含め研究・検討するとのお答えでしたが、その後どう研究・検討されたのかお伺いしたいと思います。 そこで質問をいたします。 ふるさと納税における住民税の影響額を伺うとともに、今後の影響について区の見解を伺いたいと思います。 ふるさと納税制度を本区でも活用すべきではないかと考えますが、区の見解を伺います。 制度の活用に際しては、返礼に関していろいろな取り組みが考えられます。区内企業育成の観点や区内の観光スポットの周遊などソフト面での対応、また、包括協定を結んでいる他の自治体との連携など挙げられるが、区の見解を伺いたいと思います。 ガバメントクラウドファンディングなどの手法を用いて、葛飾区の事業を住民や寄附者と一緒に取り組めるような環境を整備してはどうかと考えるが、区の見解を伺いたいと思います。 青木克德区長 米山議員のご質問にお答えいたします。 まず、ふるさと納税と寄附文化の醸成についてのご質問のうち、ふるさと納税制度を本区でも活用すべきではないかとのご質問にお答えいたします。 お話にありますように、特別区長会では、税源の偏在是正措置は、法人住民税の国税化やふるさと納税を初めとした方策ではなく、全体の地方税財源を拡充するなど、国の責任において是正すべきであり、また、ふるさとを応援するという制度本来の趣旨に立ち返るべきとの主張をしているところでございます。また、私といたしましても、ふるさと納税制度においては、地域の活性化やふるさとを応援する寄附の趣旨には賛同するものの、現在、高額な返礼品による自治体間の競争が行われており、その返礼品を目当てにした寄附が増加しているが、行き過ぎた返礼品による税の控除は本来のふるさと納税の趣旨とは異なるものと考えております。 本区では、平成23年3月に夢と誇りあるふるさと葛飾基金を設立し、これまで区民等からの善意の寄附による葛飾区への応援というスタイルを重視してきたため、寄附を意識して返礼品を用意するなどはしてまいりませんでした。しかしながら、国がふるさと納税を積極的に推奨し利用者が拡大している中、区民による他自治体への寄附がふえていくと本区の区民税の減収につながり、区政への影響はさらに大きくなるものと危惧しているところでございます。 そのため、私といたしましては、国に対して制度趣旨の逸脱など主張すべきところは主張しながらも、ふるさと納税制度を活用した返礼品などの特典の導入についても担当部署で検討するように指示をしているところでございます。 次に、返礼に関する区内企業育成の観点や、区内の観光スポットの周遊、包括協定を結んでいる他の自治体との連携などの取り組みについてのご質問にお答えいたします。 ふるさと納税における返礼品などの特典制度の導入は、本区の特色や魅力、特産品などをインターネットで広く全国に情報発信し、多くの皆様に知っていただくとともに、その特産品を選択していただくことで、地域産業の活性化につながる有効な取り組みであると考えております。 本区には、肉や海産物、米というような特産品はございませんが、区内でつくられた工業製品や伝統工芸品、小松菜の加工製品、こち亀など本区ゆかりのキャラクターグッズの特産品や柴又などの観光スポットもございます。そのため、私は、本区の特色を生かして、産業界との連携による返礼品の設定や、柴又帝釈天、寅さん記念館、山本亭などの観光名所の周遊コースの設定など、観光資源を生かした返礼の構築などを進め、多くの方々に本区を訪れていただけるきっかけづくりも進めたいと考えております。 また、地方創生を目的とした連携の取り組みとして、本区が地域包括協定を締結している自治体などとも連携を図り、その地域の特産品を返礼品にするなどの取り組みもあわせて検討して、本区及び協定自治体相互の活性化につなげていけるような制度構築について、担当部署に指示をしているところでございます。 以上です。 米山真吾 次に、公共工事の品質確保・向上と公契約について質問をいたします。 区は、公共施設の更新費用に係る財政負担の平準化と施設の長寿命化を図るため、葛飾区区有建築物保全工事計画を策定し、平成29年度においても計画的・予防的な修繕を実施するとしています。これらを初め、学校の改築・改修等、これから大規模な工事が多く予定されている中、区の発注する公共工事の品質確保や向上が求められてきます。 公共工事を実施するに当たっては、施工する事業者の能力が高くなくてはなりませんが、それを支えているのが技能労働者や技術者であります。これらの人材がこういった工事の品質確保や向上の一翼を担っているといっても過言ではありません。 一方で、技能労働者や技術者はどういう状況かといいますと、平成28年3月に国土交通省が発表した建設業を取り巻く情勢・変化について、建設業就業者数は平成27年平均で500万人となっており、平成9年のピーク時685万人から約27%減少しており、技術者も41万人から32万人に減少、技能労働者も455万人から331万人に減少しています。また、年代別の内訳としては、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と、高齢化が進行しております。 人手不足対策として離職した経験者などに声をかけますが、一旦、離職した技能労働者は先行きの見通しが立たず不安だから建設業には戻らないという人が多いため、ほとんど戻ってこないという実態があります。また、技能労働者として一通りのことがこなせるには、5年から10年はかかると言われております。現場でのたたき上げと経験が重要な仕事だけに、体力面も含めて、20代のうちに入職することが望ましいことになります。このことからも、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっています。 しかし、現実には若年入職者の確保や育成がうまくいっていないと感じられます。問題点を何点か述べますと、1点目は賃金水準の問題が考えられます。労働政策研究研修機構の調査では、建設業は屋外作業でかなりのハードワークであり、せめて同世代の1.5倍の賃金は必要との声や、「ものづくりは面白く、やりがいのある仕事だ。しかし、やりがいや喜びだけで続けることは難しい。生活できる賃金かどうかが仕事を続ける基準」と言われる方も多いと聞いております。 2点目は、長時間労働の問題が考えられます。厚生労働省の平成26年4月に出された、働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査においても、建設業を離職する理由の一つに労働時間が長いことを指摘する回答割合が少なくありません。受注・請負側双方が土曜閉所を含めた適切な工期を設定することが必要になると考えられます。 3点目は、社会保険の加入促進です。 4点目は、教育訓練の機会がない点であります。圧倒的多数を占める中小零細建設業における人材育成は、人手不足の影響もあり、現場で十分な教育訓練の機会を提供できないというジレンマも抱えています。入職した若者としても、いきなり現場に放り出されるより、一定の期間、同世代が集まり基礎的な技能を身につける集合訓練が有効であるのではないかと思います。現場での仕事の前に研修期間を挟むことで、スムーズに現場に入れるのではないかと考えます。 5点目は、キャリアパスの明確化ではないかと考えます。公共工事設計労務単価は、現在、職種ごとに単価が示されていますが、キャリアの伸長などを前提にしているものではありません。年齢や資格に応じた処遇体系を整備するには、例えば高校を卒業して実務経験を3年積んだ後、2級技能士を取得し、5年後には1級技能士を取得するなどのキャリアプランを明確にして、それに対応する単価を示せれば年齢や資格に応じた年収カーブを描くことも可能ではないかと思います。こういった対策を講じていくことにより、若年入職者の確保につなげていけるのではないかと考えます。 また、公共工事の品質確保の観点から、公契約についても議論を深めていく必要があるのではないかと思います。公契約条例については、2009年の千葉県野田市が条例を制定した後、特別区でも渋谷区、足立区、千代田区などが条例の制定を実施しています。公契約といっても内容は各自治体で異なっておりまして、基本条例から要綱の改定で抑えているところなど、さまざまであります。基本条例でも賃金への言及があるものとないものもありますし、条例制定をした自治体でも、基本方針を定め、その上で労働報酬下限額を設定しているところもありますし、労働報酬下限額に特化しているところもあり、さまざまであります。 足立区の例を挙げますと、公契約条例の基本方針を掲げておりまして、1番目は良質な区民サービスを確保すること、2番目には適正な労働条件の確保、3番目には地域経済の活性化に寄与する事業者を適正に評価し、区内業者の育成を図ること、4番目、5番目は、入札や契約の透明性の確保や不正排除などが示されています。つまり、公共工事の品質確保やサービスの向上を目的として公契約条例を導入した経過が見てとれます。また、公契約条例の導入に当たっては、労働者側だけでなく、事業者の方たちとも密に議論をされてこられたとも伺っております。本区においても、中小零細事業者が多く、人材が足りない中で企業活動されているところが大半であることから、進めるに当たっては事業者側の意向もきちんと聞きながら進めていく必要があると考えております。 先ほども述べましたが、公共工事の品質確保や質の向上をさせていくには、事業者の能力の強化や、それを支える人材の確保・育成が不可欠であります。区としても、将来を見据えて、さまざまな面から公共工事の品質確保や向上に向けて対策を検討していく必要があるのではないかと思います。 そこで質問をいたします。 公共工事の品質確保や向上について、事業者の能力の強化や、それを支える人材の確保・育成が必要だと考えるが、区の見解を伺いたいと思います。 若年入職者の確保は喫緊の課題になると考えますが、区としても対策を検討すべきと考えるが、区の見解を伺いたいと思います。また、地域の雇用に積極的に取り組んでいる事業者に対して支援する必要があると考えるが、どうか。 区は、公共施設の更新費用に係る財政負担の平準化と施設の長寿命化を図るため、葛飾区区有建築物保全工事計画を策定し、平成29年度においても計画的・予防的な修繕を実施するとしています。これらを初め、学校の改築・改修等、これから大規模な工事が多く予定されている中、区の発注する公共工事の質の向上を図る観点からも公契約条例の制定を検討すべきと考えるが、どうか。 青木克德区長 次に、本区の発展と今後の公共交通のあり方についてのご質問のうち、今後の区の公共交通網の検討において、広い視点で区を取り巻く動向を捉えていくべきとのご質問にお答えいたします。 お話しのとおり、公共交通網の検討に当たりましては、現在の国や都の施策や重点プロジェクトなどを踏まえるとともに、今後の動向を注視していく必要があります。特に鉄道網の構築においては、東京圏における動きのほかに、国家的な戦略といったものも影響してまいります。 昨年4月に公表された交通政策審議会の答申では、東京圏の都市鉄道の目指すべき姿として、国際競争力の強化、豊かな国民生活に資するための整備、まちづくりと連携した持続可能なサービス、災害対策の強化といった視点が挙げられて掲げられております。また、具体的な取り組みとして、空港アクセスや観光・ビジネス施策の強化、混雑の緩和や速達性の向上、ユニバーサルデザインやシームレス化、まちとの一体性の創出など、多様な取り組みがうたわれております。 こうしたさまざまな動きを的確に捉えることで、本区の公共交通施策の実現性が高まるとともに、区内の交通利便性の向上だけにとどまらず、都心部や空港などへのアクセスがより便利になり、本区のさらなる発展へとつながってまいります。 区といたしましても、こうした動きに対応し、お話にあるような広い視点からの検討を行うため、来年度予算案において公共交通網の検討調査を計上し、バス・鉄道を含めた区内全域の公共交通網のあるべき姿を検討してまいりたいと考えております。 次に、これまで取り組んできた鉄道の取り組みについても、本区の発展を見据えた広い視点からさまざまな検討を行うべきとのご質問にお答えいたします。 さきの交通政策審議会答申では、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のある鉄道プロジェクトとして、24の路線が挙げられております。本区がこれまで積極的に取り組んでまいりました地下鉄8号線・11号線の延伸、メトロセブンの新設についても、この24路線の中に位置づけられております。 地下鉄8号線・11号線の延伸によって、現在、開発が進んでいる臨海地域とのアクセス性の向上や常磐線の混雑緩和が期待できます。また、メトロセブンの新設によって、区部周辺部の環状交通が実現し、都心部からの放射状の鉄道ネットワークと結ぶことで新たな交通網を構築することができます。新金貨物線についても、常磐線と総武線をつなぐ新たなルートとして、より広範な地域ヘネットワークが拡大する可能性も考えられます。一方で、特に鉄道の整備には多大な経費と安定的で持続可能な運営体系が求められるなど、公共交通の検討調査におきましては、さまざまな観点からの十分な検討が必要であります。このため、区内の公共交通にかかわる鉄道・バス事業者にも協力を依頼し、本区の公共交通を考える会議体を設け、多様な視点での検討を行ってまいりたいと考えております。 以上です。 米山真吾 次に、本区の発展と今後の公共交通のあり方について伺います。 本区は、東京東部に位置し、荒川、中川、江戸川といった河川や、水元公園といった豊かな自然にも恵まれた地域で、都心部とのアクセス性もすぐれた地理的な強みを持っています。亀有、金町から大手町までは23分から25分、新小岩駅から東京駅までは12分の距離にあり、通勤・通学など都心部との行き来を考えたとき非常に便利な位置にあります。今後の本区の発展において、こうした強みを最大限生かした取り組みを進め、魅力ある区としていくべきと考えます。 また、昨年発表された交通政策審議会答申において、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿の一つとして、国際競争力の強化に資する都市鉄道が掲げられております。本区は、成田空港や羽田空港へのアクセスについても、成田スカイアクセス線や羽田空港へ直結する鉄道が走っています。国際競争力強化に伴う鉄道施策に合わせた形で本区の発展を図っていくといったことも、視野に入れる必要があります。あわせて、こうした取り組みとともに、本区にお住まいの区民にとってより一層住みやすい街にしていくためには、ふだんの生活に欠かせないバス交通網も充実していくべきと考えます。 本区は、バス社会実証実験を順次実施しておりますが、新小岩~金町駅間は利用者が多く既に本格運行になっておりますが、平日はまだ未実施であります。また、高砂一丁目行きについては、平均乗車人数は少なかったものの、通勤・通学時の時間帯は需要が多かったことなど、時間帯によって需要のばらつきがあることもわかってきております。現在、新柴又から区役所経由の路線を実証実験中でありますが、実験でわかったデータを検証し、その地域の実情に合わせた路線を拡充することによって、住民ニーズに応えたきめ細かい交通網が構築されるのではないかと考えます。 本区の発展に当たっては、公共交通の拡充は避けて通れない重要な取り組みであり、平成29年度予算案においても公共交通網の検討・調査に取り組まれることに大いに期待するところであります。 そこで質問をいたします。 平成29年度予算案に公共交通網の構築に向けた検討調査の予算が計上されていますが、平成6年度に実施した葛飾区南北交通検討調査、平成15年度に実施した新金貨物線旅客化にかかわる技術的検討調査など、過去行われた調査と今回実施する調査の違いを伺いたいと思います。 新金貨物線旅客化がマスメディアでも取り上げられております。平成18年第3回定例会で検討状況の報告がなされていますが、主な課題として、国道6号線との交差部分、貨物線との共存、事業採算性などが挙げられ、その結果、長期構想路線として位置づけられてきた経緯があります。今回どのような検討を行うのか、区の考えを伺いたいと思います。 今後の区の公共交通網の検討において、国家的な戦略や国・都の政策の動きなど広い視点で区を取り巻く動向を捉える必要があります。これについて区はどのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。 これまで取り組んできた地下鉄8・11号線の延伸やメトロセブンの新設、新金貨物線旅客化などについても、将来の本区の発展を見据えた広い視点からさまざまな検討を行うべきと考えるが、区の見解を伺いたいと思います。 公共交通の検討には、これまでのバス社会実験の検証結果に基づく路線の実施や、バス交通と鉄道が連携したネットワークの構築が不可欠であります。検討に当たっての区の考え方を伺いたいと思います。 最後に、水と緑豊かな心ふれあう住みよいまちの実現について伺います。 葛飾区は、都市計画マスタープランを策定し、まちづくりの目標として、安心して住み憩い働き続けられる川の手・人情都市かつしかを打ち出し、特に川に囲まれた本区特有の地勢をまちづくりに生かしていこうとしています。 都市計画マスタープランでは、緑・オープンスペースの形成と魅力ある川への整備方針を掲げており、河川、公園、緑地などのオープンスペースは、美しいまち並みの演出、区民のレクリエーション、生物の生息・生育空間、災害時の避難場所など、生活の質を高め、快適で安全な生活を営む上で大変重要な役割を担っているとされる一方で、河川によっては高い堤防や直立した護岸などにより、街と川が切り離されているような状況が見られる課題などを指摘しており、今後は、街全体を視野に入れた市街地の公園や、緑道と川を結ぶ水と緑のネットワークの形成や、船着き場を活用した水上交通の検討など、魅力ある川の整備に努めることにより川を生かした街を実現していくとあります。しかし、街全体を視野に入れて実現していくとしていますが、川を生かしたまちづくりについてはそれぞれネットワークや地域別の計画などに概念的に記載をされており、その中で緑地公園の創設や船着き場の設置など個別の計画による点の開発をしているように感じます。 例えば、中川の両岸にテラスがありますが、その先の親水性を高めるための連続性をどうしていくのかとか、水上交通をどうしていくか、緑の確保をどうしていくのかなど、川を生かした街を実現するためには、都市計画マスタープランと個別計画の間に川全体をどのように活用していくのか、全体の利活用を計画することが必要ではないかと考えます。 そこで質問をいたします。 都市計画マスタープランの緑・オープンスペースの形成と魅力ある川を実現するには、ネットワークや地域別の概念的な計画、生物多様性戦略など、点としての個別計画をつなぐ川全体の利活用のあり方を考慮した計画が必要と考えるが、区の見解を伺いたいと思います。 以上で、私の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 青木克德区長 次に、水と緑豊かな心ふれあう住みよいまちの実現に向けて、個別計画をつなぐ川全体の利活用のあり方を考慮した計画が必要とのご質問にお答えいたします。 水と緑豊かな心ふれあう住みよいまちの実現に向けて、都市における河川や公園・緑地などのオープンスペースは、美しいまち並みの演出、区民のレクリエーション、ヒートアイランド現象の緩和、生物の生息空間、災害時の避難場所など、生活の質を高め、快適で安全な生活を営む上で大変重要な役割を担っております。特に、本区は、荒川、江戸川、中川、新中川など大規模な河川が流れ、その水辺は豊かな生態系や潤いのある景観を創出する貴重な空間となっております。 この水辺空間の整備として、例えば中川においては、護岸の耐震工事に合わせて、スカイツリー、ハープ橋などを望めるビュースポット、植栽、ベンチ、照明施設などの修景施設を伴ったテラス整備を進めており、本区の新たな親水空間を形成しています。さらに、河川の利活用の観点では、河川敷をグラウンドや公園緑地などとして整備し、多くの区民に利用されるとともに、動植物などの生息空間としても貴重な場となっています。 今後も、都市計画マスタープランをもとに、市街地の公園や緑道と川を結ぶ水と緑のネットワークの形成に努めるとともに、区民との協働によるビュースポットやテラスを利用したイベントなど、河川空間のオープン化を含めたさまざまな利活用を計画的に進めてまいりたいと考えております。 以上です。
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