▼私の発言を掲載します。 ぜひご一読願えれば幸いです。
平成28年 第1回定例会(第1日 2月17日)
平成28年 第1回定例会(第2日 2月25日)(代表質問・財政運営・ふるさと納税・民間資金活用)
○No.76 米山真吾議員
お許しをいただきまして、私は民主党葛飾を代表いたしまして、さきに通告した順序に従い、区長並びに関係部長に質問するものであります。 まず初めに、財政運営と寄附文化の醸成について伺います。 大都市部狙い撃ちの法人住民税の一部国税化については既に実施され、本区においても財政調整交付金への影響が心配されましたが、平成28年度予算案では固定資産税の増が影響し、財政調整交付金としては微増となり、本区に大きな影響が出なかったことは幸いであります。しかしながら、国は消費税10%引き上げ時に法人住民税の一部国税化の税率を変更し、さらに拡大することや、法人実効税率の引き下げなども検討されております。この法人実効税率の引き下げも法人住民税に影響することから、財政調整交付金に今後影響を及ぼす懸念があります。本区は、財政調整交付金が一般会計の約4割を占めていることから、これらの施策が実施された折には行政サービスにも大きな影響が出てくるものと危惧をしております。 区長も所信表明で述べられているように、住民税は地方固有の財源でありますから、本来はそこに住んでいる、または営業活動をしている住民や企業に財源を使うべきであり、国が吸い上げて水平分配するべきものではないと考えます。これは、まさに地方自治の根幹を揺るがすものだと思います。 本区において、歳出面では、公共施設の老朽化による改築や維持更新などに今後膨大な財政需要を要します。先般報告された葛飾区区有建築物保全工事計画策定方針(案)では、予防保全の観点や財源の平準化を盛り込んで各年度の保全費用とは別に未改修費用が240億円を越えることが予想され、なおかつ、諸経費や税額を含んでいないため、実際にはさらにふえる可能性もあります。特に、平成32年度は未改修費用の平準化を入れずに50億円程度の財源が必要になることが見込まれています。歳入面での減収が予想されることと、今後歳出面の財政需要額が大幅にふえることが予想される中、歳入をいかに確保していくか、そして歳出をいかに抑制していくか、対応が迫られてくると思います。 そこで質問をいたします。 歳入面では、法人住民税の一部国税化、法人税減税など、財政調整交付金制度に影響を与える税制改正が今後推移する中で本区にとって中期的に影響が出てくるものと考えるが、区への影響と今後の全体の財政運営や基金等の対応など、見通しを伺いたいと思います。 歳出面で、区有建築物の改築や維持更新など多額の財政需要が発生すると考えるが、これを支える財政運営の対応や計画どおりに行っていくには各基金を計画的に積み立てていく必要があると考えるが、区の見解を伺いたいと思います。 今後、歳出削減の取り組みを進めていく必要があると考えます。電力自由化なども始まるが、歳出面での抑制の取り組みをどのようにしていくのか、区の見解を伺いたいと思います。 次に、ふるさと納税について伺います。 ふるさと納税は、国が平成20年度に創設したもので、都道府県、市区町村に対して寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分について一定の上限まで原則として所得税・個人住民税が全額控除される制度で、現在では返礼品を送る自治体もあり、年々利用される方も多くなってきていると感じております。 寄附先はどこの自治体でも構わないのですが、個人住民税の控除は居住しているところからとなりますので、葛飾区民が他自治体に寄附をすれば葛飾区の個人住民税が控除されるので葛飾区の歳入が減ります。影響額が大きくなれば、それだけ住民サービスにも影響する可能性があります。区長は、夢と誇りあるふるさと葛飾基金を創設して寄附の受け皿を整備して取り組まれてきました。この取り組みについては評価しておりますが、ふるさと納税制度を活用して寄附しやすい環境をさらに整備するということも重要ではないかと思います。 私が注目するのは、ガバメント・クラウドファンディングという手法です。クラウドファンディングとは、不特定多数の人たちがインターネットを経由して組織などに資金の提供や協力をすることですが、その自治体版です。他の自治体の事例を見ますと、墨田区がすみだ北斎美術館の設立支援を募り、開始2週間程度で260万円ほどの寄附金が集まっています。氷見市ではハンドボール大会の存続のために支援を募ったり、犬の殺処分ゼロプロジェクトへの支援を呼びかける自治体もあり、各自治体が創意工夫しながら寄附を募っています。寄附金額にはばらつきがありますが、そういった取り組みを行いながら自治体の歳入を補完し、住民の地域への愛着や文化の醸成も図られていくのではないかと思います。 そこで質問をいたします。 ふるさと納税制度創設からの本区における住民税の影響額の推移を伺いたい。昨年4月の寄附から、住民税の控除額が所得割額の1割程度から2割程度と拡大され、ワンストップ特例制度も導入され、年間5自治体までならば確定申告しなくてもよくなり、手続が簡略され今後活用される方も多くなると考えるが、区の見解を伺いたい。 ふるさと納税制度を活用して歳入の補完的な機能や寄附を通じて地域への関心や愛着を高め文化を醸成していくことは、本区が掲げる協働の考え方にも合致するものと考えるが、区の見解を伺うとともに、ガバメント・クラウドファンディングなどの手法を用いて葛飾区の事業を住民や寄附者と一緒に取り組めるような環境を整備してはどうかと考えるが、区の見解を伺いたい。 次に、水と緑ゆたかな心ふれあう住みよいまちの実現について伺います。 葛飾区は都市計画マスタープランを策定し、まちづくりの目標として「安心して住み憩い働き続けられる川の手・人情都市かつしか」を打ち出し、特に川に囲まれた本区特有の地勢をまちづくりに生かそうとしています。都市計画マスタープランでは、緑・オープンスペースの形成と魅力ある川への整備方針を掲げており、河川、公園、緑地などのオープンスペースは、美しいまち並みの演出、区民のレクリエーション、生物の生息・生育空間、災害時の避難場所など、生活の質を高め、快適で安全な生活を営む上で大変重要な役割を担っているとされる一方で、河川によっては、高い堤防や直立した護岸などにより街と川が切り離されている状況が見られる課題などを指摘しており、今後は、街全体を視野に入れた市街地の公園や緑道と川を結ぶ水と緑のネットワークの形成や、船着場を活用した水上交通の検討など、魅力ある川の整備に努めることにより川を生かした街を実現していくとあります。しかし、街全体を視野に入れて実現していくとしていますが、川を生かしたまちづくりについてはそれぞれネットワークや地域別の計画などに概念的に記載をされていて、その中で緑地公園の創設や船着場の設置など個別の計画が出てきていて、点による開発をしているように感じます。 例えば、中川の両岸にテラスを建設していますが、その先の親水性を高めるための連続性をどうしていくのかとか、水上交通をどうしていくか、あるいは緑の確保をどうしていくのかなど、川を生かした街を実現するためには、都市計画マスタープランと個別計画の間に川全体をどのように活用していくのか全体の利活用を計画することが必要ではないかと考えます。 そこで質問をいたします。 都市計画マスタープランの緑・オープンスペースの形成と魅力ある川を実現するには、ネットワークや地域別の概念的な計画、生物多様性戦略などと、点としての個別計画をつなぐ川全体の利活用のあり方を考慮した計画が必要と考えるが、区の見解を伺いたい。 次に、日本語の指導を必要とする子供たちへの教育のあり方について伺います。 葛飾区の人口については、葛飾区統計書によると年々増加してきております。また、それに伴い外国人人口もふえてきており、平成26年には1万4,144人となっており、割合を見ますと、中国が7,066人、韓国・朝鮮が3,403人、次いでフィリピンが 1,381人となっています。その他も入れると、全体で40カ国以上となっております。それに伴い、子供たちも増加傾向にあり、日本語の指導を必要とする児童・生徒が平成26年8月の教育委員会で調査した結果では、平成24年度は42人、平成25年度は71人、平成26年度では88人と年々増加傾向にあり、今後も増加していく可能性があります。 では、本区の体制はといいますと、現在、日本語学級は3校あり、松上小学校、中之台小学校、高砂中学校で実施されています。先日、2校を視察してきましたが、各校で指導体制にばらつきがあることと支援体制が不足していると思いました。ある学校では、1人の先生がマンパワーだけでやっているところもあれば、ある学校では、ボランティアの方を巻き込んでの指導を行っているところもあります。指導する教材一つ見ても各校で違いますし、教材の選定も現場対応になっています。また、通常学級の担任の先生との連携などもうまくいっていないような部分もありましたし、特に気になったのが校長先生と日本語学級との関係で、日本語学級の位置づけが曖昧になっていることによって関与の仕方や情報の共有が現場でできない状況になっていると思います。 これらの責任のあり方や連携などを改善するためには、まず、東京都公立小・中学校日本語学級設置要綱に基づく日本語学級として位置づけをすることが必要であると考えます。その上で、日本語指導が必要な子供たちの習熟度合いを初期段階で見きわめる機能を持たせ、それに応じた体制を整える必要があると考えます。また、保護者の日本語の言語能力もさまざまであります。保護者への通訳派遣などの体制の充実を図り、子供たちへの教育を保護者と一緒にどう進めていくかも重要なのではないかと思っております。 国家間では、文化や伝統、そして歴史認識が違うわけでありますが、日本の学校に来て学ぶ以上、日本の伝統や文化、歴史などを含めた教育をしっかりと受けていただき、将来日本とのかけ橋にもなっていただきたいとも思っていますし、同時に母国のアイデンティティを持つことや、持てるようにしてあげていくことも大切なことだと思います。 そこで質問をいたします。 直近の各日本語学級の児童・生徒数の状況及び指導体制や教材選定等を含めた指導内容、また通常学級の担任や設置校との連携等、具体的な取り組みについて伺いたい。 現在の日本語学級の位置づけが非常に曖昧であり、責任の所在が明確でなく、学校長と日本語学級との関係性や通常学級の担任との連携が十分うまくいっていないと考える。早急に東京都公立小・中学校日本語学級設置要綱に基づく日本語学級として設置し、位置づけを明確にすべきと考える。中期実施計画では平成29年度に東京都へ設置要請を行うとあるが、現在の検討状況を含め区の見解を伺いたい。 区は、(仮称)多文化共生センターの設置を来年度予算案として打ち出しているが、この方針は評価します。日本語の指導を必要とする子供たちの日本語の習得状況は一人一人異なっているのが現状であり、来日当初に個に応じた指導内容を検討するような仕組みが必要であると考えます。また、日本語の理解が難しい保護者への通訳支援などのこれまで十分に支援ができていない分野の充実や、現在の通訳派遣制度等の改善も含め、広くセンターが担うべき機能や各学校の役割も検討していく必要があると考える。そこで、今後、日本語の指導が必要な子供たちを葛飾区としてどのような体制を構築し子供たちを育成していくのか、教育長に伺いたい。 防災対策について伺います。 東京で大地震が発生した場合、建物の倒壊による生命の危険性や同時多発的な火災により大規模な市街地火災が発生するおそれがあり、生命と安全が脅かされるばかりか、緊急活動や物流などの都市機能に大きな支障を与えかねません。延焼火災による被害対策について、葛飾区は都が打ち出した木密地域不燃化10年プロジェクトの特区をいち早く打ち出し、四つ木一・二丁目や東四つ木、東立石四丁目、堀切二丁目周辺及び四丁目などを順次特区指定し、都が支援する都市計画税や固定資産税の減免措置、木造住宅密集地域整備事業や耐震診断・耐震改修助成などを組み合わせて面的に解消する取り組みをしてきました。 この面的な取り組みに当たって指標となるのは、不燃領域率であります。これは、街の燃えにくさをあらわす指標で、70%で焼失率はほぼゼロとなるもので、空地率と不燃化率の両方で算出されるものです。率を上げていくためには空き地を創出することも重要ですが、同時に建築物を準耐火や耐火にして不燃化率を上げていく必要があります。これを進めるためには、既存の建築物を準耐火や耐火にしていくことは現実的には経済的コストや技術面からも非常に難しいことから、建てかえを促進していくことが必要です。建てかえすれば耐震化も同時に図られますから、建物の倒壊などの課題解決にもつながります。 来年度予算編成概要では、不燃化特区指定区域内の助成制度を拡充する提案がなされておりますが、建てかえを後押しするものであると思います。一方で、木密地域内で道路の接道の問題で建築ができないなどの建築物が多く存在していると認識しています。建てかえを促進したくても、接道の問題で建てかえができないという課題です。建築基準法上で定める4メートル以上の幅員がある道路に敷地が2メートル以上接道していないと原則建てかえができないわけでありますが、足立区は無接道家屋の建てかえ更新に向けた新たな取り組みとして、木密地域の建てかえを促進するために無接道の家屋の建てかえ基準を整備して建てかえを進める取り組みを始めました。区全域を対象に幅員1.8メートル以上、足立区は特定地域という言い方をしていますが、危険度が高い地域については幅員1.2メートルでも建てかえができる制度を創設しました。制度の立てつけは幾つか条件があるのですが、区が策定する街区プランに適合することや建築審査会の同意が必要であるとかありますが、かなり踏み込んだ制度設計を創設したなと感じております。 先ほど述べましたが、木密地域内で建てかえの必要性があるのですが、促進したくても建てかえができないという課題もある中で、足立区では無接道家屋の約6割が建てかえ対象になるというデータもあるようです。葛飾区においても残りの計画期間を考慮し、さらに促進させるためにこういった規制緩和策の検討も考慮していく必要があるのではないかと感じております。 そこで質問をいたします。 不燃化特区指定地域の不燃領域率の状況と、目標達成に向けた今後の取り組みを伺いたい。不燃領域率にもかかわるコア事業の主要生活道路の整備については、3地区が平成29年度で整備が完了する予定になっている。各地域の進捗状況を伺うとともに、建築物の準耐火や耐火建築物をどの程度ふやすと目標達成できるのか、伺いたい。 来年度予算案では不燃化特区指定区域の除却費の助成額を拡充する案が提案されているが、建てかえを促進する取り組みとして評価します。より促進させるために、現在、除却助成と建てかえ助成のうち、いずれかしか受けられないが、両方とも受けられるようにしたらどうかと考えるが、区の見解を伺いたい。 木密地域不燃化10年プロジェクトの残りの計画期間や木密地域の特性を考慮すると、無接道家屋への対策を検討する必要性もあるのではないかと考える。現在、区内における無接道家屋はどの程度存在するのか、また無接道家屋への建てかえ更新への取り組みを本区でも検討していくべきではないかと考えるが、どうか。 次に、建物倒壊による被害に対する対策ですが、葛飾区では建築物の耐震化に積極的に取り組んできましたが、葛飾区耐震改修促進計画も本年で最終年度になります。葛飾区は、葛飾区耐震改修促進計画の目標では3つ目標を掲げていまして、1つ目は住宅について耐震化率を90%とすること、2点目は民間特定建築物も耐震化率90%とすること、3点目は区有建築物の耐震改修の実施率を100%とすることとしております。先ほども述べましたが、この耐震改修促進計画も平成27年度で最終年度となり、今までの取り組みの検証をする必要があると考えます。また、検証した上で新たな計画を策定し、安心・安全なまちづくりに向けて引き続き取り組んでいく必要があるとも思います。 そこで質問をいたします。 平成20年3月に策定した葛飾区耐震改修促進計画が計画最終年度であります。住宅、民間特定建築物、区有建築物について、現在の耐震化率及び耐震化された戸数や、これまでの取り組みと成果を具体的に伺いたい。また、新たな計画を策定すると聞いているが、基本的な方針や目標設定など、区の見解を伺いたい。 次に、水害対策についてですが、葛飾区では先般、新小岩公園を高台化する方針を打ち出しました。この場所を高台化することによって、この場所の位置づけや機能をどうしていくのかが重要になります。 新小岩地域は、平和橋通りを境に、荒川側が荒川沿川南地域、平和橋通りから中川・新中川側が西部南地域と設定されていまして、新小岩地域は、荒川が決壊した際には荒川沿川南地域は柴又や高砂、細田などの東部地域に避難し、西部南地域は市川市や一部松戸市に避難することとなっています。つまり、新小岩地域については、荒川が決壊した際には、まず広域避難の原則として東側に避難してくださいということになっています。一方で、避難がおくれた際に垂直避難の必要性もあり、マンションなど高層建築物への避難ということも区では進めていると考えております。今回の高台化については、垂直避難の期待が多いと感じます。区としての新小岩公園の位置づけや機能などを明確にし、広域避難や垂直避難の考え方を住民に示して避難のあり方についてよく理解していただく必要があると考えます。 また、本事業は、国のマッチング事業によって事業費の多くを事業者に負担していただくスキームになっています。区と事業者の役割がどのようになっているのか、また、今年度事業者を決めるというスケジュールになっておりますがどのようになっているのか。また、建設発生土を搬入するということで、どのような建設発生土を搬入されるのか、検査体制の有無なども気になるところであります。 そこで質問をいたします。 新小岩公園の高台化整備事業において今年度に事業者を公募するとしているが、現在の進捗状況を伺いたい。また、事業者と自治体がコスト負担を含めてどのような役割をそれぞれ担うのか、伺いたい。 新小岩公園と隣接している東京都が計画している緩傾斜型堤防整備事業があるが、高台化事業と堤防沿いの道路を含む一体化して取り組むのかどうか、区の方針を伺いたい。船着き場等については今後どのように検討していくのか、伺いたい。 区内でも、掘削をするとダイオキシンなどを含む土砂が検出されるケースがある。今回建設発生土を活用した盛土ということであるが、建設発生土の成分調査などを行うのかどうか、伺いたい。 高台化した後の新小岩公園は、垂直避難するスペースとしての期待も大きいと考える。避難想定人数を伺うとともに、水害時においては、原則、東側に広域避難するとしているが、新小岩公園の機能や役割、避難のあり方を明確に示すとともに、住民に対して周知し理解をしていただく必要があると考えるが、どうか。 以上で、私の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
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