▼平成21年 第2回定例会( 6月 9日)より、私の「緊急医療についての質問」を掲載します。 ぜひご一読願えれば幸いです。
開催日:平成21年6月9日 会議名:平成21年 第2回定例会
○(米山真吾委員)
それでは、さきの通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
昨年10月に東京都内の妊婦が都内病院で受け入れを断われ、出産後に脳内出血で死亡された事件は、まだ記憶に新しいところですが、東京都内でもこういった問題が出てきてしまったことに関しては、救急医療に関して本当に大丈夫なのだろうかと危機感を覚えましたし、また、東京都という大都市にいて、救急医療サービスに対して漠然とした安心感を抱いていたことも事実でありました。
東京都では、地域の保健医療需要に対応するため、一次、二次及び三次保健医療圏という地域的単位を設定しています。一次保健医療圏は区市町村エリアを、二次保健医療圏は複数の区市町村を単位としており、葛飾区は区東北部保健医療圏に属しております。
区東北部保健医療圏の医療提供体制を見てみますと、救急医療体制について、東京都全体に対して割合を見ますと、休日夜間急患センター及び東京都指定二次救急医療機関以外は、区東北部保健医療圏の東京都全域に占める人口の割合9.9%を下回っています。
三次救急に関しては、東京女子医科大学東医療センター1カ所のみで、病床数も東京都全域の5%に過ぎない状況です。
葛飾区については、救急医療機関としては、東京慈恵医科大学附属青戸病院を初め11病院が担っていただいており、これらの医療機関での病床数は約1,600床で対応している現状です。
ここ3年間では、一定規模の病床数を有する地域の核となる病院が閉院し、救急の取り下げをした病院も出てきており、病床数も約290床ほど減少しました。他の病院の努力で約70床ほど増床しましたが、全体的には約220床ほどが減少してしまいました。 また、葛飾区保健医療計画の中でも一定規模の病院の閉院、それに伴う病床数の減少について、医療機会の確保の不便さについて記載されております。
こういう体制の中、平成19年度の東京消防庁の調査によりますと、覚知から医療機関等に収容するのに要した時間、いわゆる通報を受けて出動してから現場に到着をし、その後、医療機関に患者さんを最終的に引き継いだ時間についてですが、全国平均では約33.4分かかっておりますが、東京都ではこの時間が47.2分と、全国平均から約13分も長い時間がかかっております。この時間は、各都道府県全国平均で比較しても最も長くかかっており、ワーストワンという統計データとなってしまっております。
東京都全体でこういう結果ですから、葛飾区ではどうなっているのかといいますと、葛飾区の場合、通報を受けて出動してから現場に到着し、その後、医療機関に引き継ぐまで、52.79分かかっている結果が出ております。この時間は23区でも下から2番目という結果となっていることと、全国平均からも約19分程度、東京の平均から約6分もかかっていることが示されております。
このデータを見まして、正直なところ、こんなにも時間がかかってしまっているのかという感想でございます。区民の皆さんの生命を守るため、現場での救急隊員の方々や医療機関関係者の方々は、日々救急現場で最大限の努力をされていると思います。それにもかかわらず地域間で格差が出てきてしまっているということに対しては、何らかのシステムや制度的なものに課題があるのではないかと感じます。
国の社会保障費2,200億円を機械的に削減してきたことによる弊害、医療機関の廃業、医師、看護師不足、医療現場の過酷な労働環境、また救急車の利用に関しても、タクシーがわりに利用している人たちもいる現実的な適正利用の問題、また細街路が多い街のハード的な問題など、さまざまな問題や課題があると思います。
そこで質問をいたします。
通報を受けて出動してから現場に到着し、その後医療機関に引き継ぐまで、52.79分かかっている結果が出ており、23区でも下から2番目に時間がかかっていることに対して、区として救急医療体制の現状に対する認識及び課題について見解を伺いたいと思います。
全体の救急活動時間の中で、どの部分に時間がかかっているのかと他区との比較をすると、現場から医療機関に向かう時間と医療機関に到着後、引き継ぎを行う時間のところが他区と比較して時間がかかっていることがわかります。
具体的な数値を申し上げますと、現場から病院に到着するまでの時間では、葛飾区は11.57分かかっております。最も短い時間の他区は、7.88分で、その差は3.69分。それから、病院到着後、患者さんを医療機関に引き継ぐまでに、葛飾区は14.25分かかり、最も短い時間の他区は8.77分と、その差が5.48分となっておりまして、この現場から病院に到着し、その後引き継ぐまでの時間の差が最も短い区と比較してかかっております。
救急活動は東京都の役割ですが、1分1秒の差で病状が悪化したり、生命の危険性が高まると言われている中で、こういった時間の差があることは、区民の生命を守るという観点から、時間を短縮すべく改善すべきだと思います。
例えば搬送の際には事前に空きベッドなどの情報を伝達しながら行っているとのことですが、リアルタイムではない場合もあるようでして、こういったところに救急搬送のコーディネーターを設置し、スムーズに病院に搬送するとか、また、救急車にお医者さんを乗せて初期治療を救急車で行っていくドクターカーなどの導入を提言するとか、葛飾区も東京都へ積極的に改善の要望をしていくべきだと思います。
そこで質問をいたします。
救急活動については東京都が役割を担うわけですが、現場から医療機関への引き継ぎで時間がかかっている中で、区民の生命を守るという観点から言えば、区も主体的に都へ働きかけをしていくべきだと考えます。例えば救急搬送コーディネーターの設置やドクターカーなど、現場から医療機関への引き継ぎ時間短縮策の提案を都へ積極的に要望すべきと考えるが、見解を伺いたいと思います。
先ほども述べましたが、ここ3年間では、一定規模の病床数を持った地域医療の中核を担っていた病院が閉院になり、他の病院でも救急の取り下げや、これらの閉院に伴いベッド数も292床が減少しました。トータル的には減少していることは否めません。
昨年の質問で小用議員も指摘されておりましたが、地域の医療機関の減少について、身近な医療機関が地域からなくなるということは、住民からすれば不安感を持つことは私も当然のことだと思います。
葛飾区保健医療計画では、二次保健医療圏としては基準病床数に近い状況ですが、葛飾区単独では多いとは言えず、病床数の拡充をしていく記載はされていますが、具体的な数値を含めて踏み込んでいません。
そこで質問をいたします。
地域医療の中核を担ってきた病院が廃業になり、地域の医療基盤が弱くなっている地域もある中で、医療の質、ベッド数も減少してきている。区は、保健医療計画の中で病床数の拡充を図るとされていますが、ただ単に数をふやせばいいのではなく、医療機関の地域間バランスなどを視野に入れながら取り組む必要があると考えるが、見解を伺いたい。
また、具体的な数値目標を掲げながら計画を推進していくべきと考えるがどうか。
また、医師、看護師不足が指摘されていますが、人材の確保という点では、眠っている資格者の復帰支援や就業継続支援などの支援策の充実を図るべきだと考えるが、区の見解を伺いたい。
最後に、先日、区長のあいさつの中で自身の進退の表明がございました。4期16年の長きにわたる区政運営につきましては、まことにお疲れさまでございました。
区長の在任中、私たちも政策等でさまざまな議論をさせていただきましたが、区長の財政への姿勢は、平時においても、不測の事態に備え基金を積み立てるなどをしながら、安定した財政運営をされてきたと思います。100年に一度と言われる厳しい景気状況の中、その備えをしてきたことにより、財政の減収にも動じることなく適切に対応し、堅実な財政基盤をつくってこられたのではないかと思います。
青木区長におかれましては、まだ任期がありますので、今後も大学誘致を初めとして葛飾区の将来に向けて重要な施策がありますので、葛飾区民のために引き続き区政運営に取り組んでいただきたいと思います。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○(池田ひさよし議長) 区長。 〔青木 勇区長 登壇〕
○(青木 勇区長)
米山議員の救急医療体制についてのご質問にお答えをいたします。
区民の安心、安全の基盤であるべき医療体制、とりわけ緊急時に頼るべき救急医療の充実は、区といたしましても大きな課題だと認識をしております。救急活動や救急医療機関に関しては、東京都の対応となるわけでございますが、本区といたしましても、あらゆる機会を通じて、その充実に向けた取り組みを働きかけてまいりたいと存じます。
ご質問にもありました、昨年10月に妊婦の救急搬送の受け入れについて不幸な事態がございました。少子高齢化対策を進め、区民が安心して生活をできる環境整備を行うべき本区といたしましても、これをゆゆしき事態ととらえまして、昨年11月には特別区長会の代表に私自身も加わって、緊急に厚生労働大臣に対する要望を行ったところでございます。
その内容といたしましては、産科、救急科等の医師不足の解消や女性医師の勤務継続への支援、看護師等医療従事者の勤務環境の改善、周産期医療体制の整備等々でございます。
引き続き特別区長会などの場を通しまして、救急医療の充実が図られるよう要望してまいりたいと考えております。
その他、具体的な問題につきましては保健所長から答弁をいたさせます。
○(池田ひさよし議長) 保健所長。
○(齋藤麗子保健所長)
救急医療体制についてのご質問にお答えいたします。
平成19年行政区別救急活動時間の統計によりますと、救急隊が覚知してから病院に引き継ぐまでの時間は他区よりかかっておりますが、これは病院に到着してから医師に引き継ぐ時間がかかっているというためでございます。救急隊が救急現場に到着して病院探しをする、いわゆる現場活動時間は23区中12番目であり、他区と比べて特に長くなっているという状況ではございません。
しかしながら、救急患者さんを少しでも速やかに病院等に引き継ぎ、的確な医療につなげることは重要な課題でありまして、東京都消防庁は今後も救急車の適正使用に向けて現場トリアージも実行し、重傷患者を優先して病院へ搬送するなどの対策を講じているところでございます。
救急活動の迅速化につきましては、救急医療機関と消防署との連携が重要であり、区といたしましても、葛飾区救急業務連絡協議会を通して、葛飾区医師会も含め課題を共有し、検討してまいります。
全国的に医師や看護師人材の確保が難しく、一定規模の病床数を有する病院の閉鎖等が見られ、都内においても小児科や産科等における医師不足が問題になっており、医療人材の確保が緊急の課題となっております。
区といたしましても、このような状況を踏まえ、救急医療病院を初めとする医療機関の受け入れの推進には、こうした医療人材の確保を初め、一定規模の病床があることは、区民の医療、健康面での安心を与えることにつながりますので、区はあらゆる機会をとらえて各方面に働きかけてまいります。
次に、人材の確保ということでは、東京都の女性医師再教育-復職プロジェクトに、葛飾日赤産院が参加しております。これは、子育て等で家庭に入った小児科、産科の女性医師のための復職支援事業であり、保健所においては乳幼児健診事業等で再教育に協力をしているところでございます。
また、看護師については、東京都ナースプラザ等ナースバンクの活用を図っていくなど、都との役割分担のもと、救急医療体制全体のレベル向上を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
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