▼平成19年第2回定例会(第1日 6月12日)より、私の一般質問を掲載します。
ぜひご一読願えれば幸いです。
会議名:平成19年第2回定例会(第1日 6月12日)(一般質問・建築確認申請・選挙事務)
○20番(米山真吾議員)
さきの通告に従いまして、区政一般質問をさせていただきます。
一昨年の耐震偽造の問題が起きましてから、はや1年半以上が経過をいたしました。今月6日には、耐震強度が足りなかったグラン ドステージ池上の建てかえの着工式が開かれ、少しずつ改善の兆しが見える一方、また新たな問題としてホテルアパなどの案件が発生し、いまだ尾を引きずって いる状況であります。葛飾区では、幸いなかったわけでございますが、今後も注視していく必要があることは間違いありません。
事件後、さまざまな今回の問題を改善するための議論が、国土交通省を初め関連業界団体との間で行われました。そして、今月20日に改正建築基準法、建築士法等が施行されます。
そこで、初めに、現状確認を含めまして、現在の確認申請の状況について質問をいたします。
耐震偽造事件以降の民間確認検査機関と区の確認申請件数及び完了検査件数の推移を伺いたいと思います。
次に、行政の確認申請時におけるチェック機能という観点から質問をいたします。
今回の改正建築基準法の大きな改正点は、一定の高さ以上の建築物について、指定機関による構造検査審査の義務づけを行った点で す。構造計算書の偽造が行われたことにより、検査機関のチェック機能が働かなかったことによる対策としてダブルチェックを行っていくというものでありま す。
具体的には、木造で高さが13メートルを超え、また、軒高9メートル超えのもの、鉄骨造で地上階数が4以上のもの、鉄筋コンク リート造、鉄骨鉄筋コンクリート造で高さ20メートルを超えるもの、規模にかかわらず構造計算を改正法による新大臣認定プログラムで行った建築物等々が当 てはまるわけですが、今回の確認申請の手続きですと、申請時には建築主事または指定確認検査機関に提出した後、指定構造計算適合性判定機関での審査がある わけですが、この指定構造計算適合性判定機関は、都道府県知事または知事が民間に対して指定することができますが、東京では既に財団法人が5社、株式会社 が5社、計10社の民間が指定されており、今後はもっと指定が増えるものと思われますが、民間が審査していく仕組みになっています。
この仕組みを見ていきますと、行政の確認申請時におけるチェック機能というものが効果的に機能していくのだろうかという点にあ ります。確かに、ダブルチェックをするわけですから従前より間違いというものはなくなっていくものと思います。しかし、現在、確認申請件数は民間の方がか なり多い状況において、民間で確認申請の受付及び申請を行い、その後の判定機関でも、実際、民間ですから、民間でチェック及びダブルチェックも行うという 形になるわけです。
行政は、このパターンでいくと、改正前と同じで、確認審査報告書を民間の確認検査機関から受け取るだけということになるわけでございます。このことから、行政の確認申請時におけるチェック機能というところが手薄になるのではないかという疑念を覚えるわけでございます。
また、もう一つの問題として、申請件数が民間の方が多い状況にあり、ダブルチェックも民間で行うということにより、直接、行政 が確認申請を受け、設計図書や構造計算を直接見ながら実際にチェックする機会がかなり減ってしまうことが起こると考えられます。このことによって、今ま で、法令集や条例などに照らし合わせながら審査をしてきた職員の技能や知識、技術力が全体的に低下してしまうのではないかと危惧するわけであります。
今回の改正によって、特定行政庁の指定確認検査機関に対する立ち入り検査や意見聴取などの権限は強化されたわけですが、指導、監督する側の知識や技能、技術力が低下してしまっては仕方ありません。
そこで、質問をいたします。
6月20日の改正基準法の施行により、一定の高さ以上の建築物について、指定機関による構造計算審査の義務づけが行われます が、民間の検査機関の申請件数が増加している中、適合性判定機関も知事指定による民間が請け負うことにより、現実には、行政が直接建築確認審査をする機会 が減り、チェックが手薄になると考えるが、区の考えを伺いたい。
また、同時に、機会の減少により職員の知識や技術力の低下も懸念されるが、あわせて、区はどのように考えているのか、伺いたいと思います。
次に、区民サービスという視点から質問をいたします。
今回の改正により、建築確認申請の受け付けをした段階から、提出した設計図書の修正ができなくなったことが大きく挙げられま す。簡単に説明しますと、従前は、提出後に設計図書の修正ができました。例えば、平面図では窓が記載されていたが、立面図では記載されていないなどの図面 間の不整合や、法律的に適合していない箇所が指摘されても対応ができたのですが、改正後は、誤字脱字程度の軽微な修正しか認められず、だめだった設計図書 については、建築主事または確認検査機関から、不整合、不適格という旨の通知が来て終了ということになります。
この手続きですと、ほぼ完璧な状態で提出することはもちろんですが、不適合等があった場合、通知されて終わってしまい、そこで 申請そのものが完結されてしまい、確認申請手数料も戻ってきません。柔軟性が欠けていると言わざるを得ません。提出する側の設計者、建築主を含めて、区民 側からすればリスクが高い事柄として感じてしまうわけでございます。
民間の指定確認検査機関の講習に行ってきましたが、民間の検査機関も、改正後の手続きをこのとおりにやってしまいますとサービ スの低下につながることは間違いないとの認識を持っており、事前相談という形で対応し、ほぼ完璧な状態で受け付けができるよう対応するとの見解を述べてお りました。
行政側も、特に確認申請手数料が発生するわけですから、区民サービスの低下にならないよう対応すべきだと思います。
そこで質問をいたします。
今回の改正建築基準法により、確認申請後の設計図書の訂正ができなくなり、不整合あるいは不適合な設計図書については、その旨 の通知をして完了することになるが、この過程だけでは柔軟性がなく、また、確認申請手数料も戻らないという弊害が出てくることになり、区民サービスの低下 につながると考えるが、区の考えを伺いたいと思います。
また、その対応については事前に相談を受け、審査受け付けにスムーズに入れるようなサービスをしていくべきと考えるが、区はどのように対処するか、考えを伺いたいと思います。
次に、選挙の開票事務について質問をいたします。
自治体業務における迅速性、効率性の追求の意識の重要性とともに、区の職員の意識改革の必要性という観点から質問をさせていただきたいと思います。
開票事務改善の意義の一つにはコストの問題もあります。また、もう一つの意義は、この改善運動を通して、区の職員の意識改革を 行うことです。従来の選挙の開票事務のように、やらされ感だけで仕事をしていては、決してよい仕事はできません。税金のむだ遣いにもつながっていきます。 職員が目的意識を持って仕事をし、仕事にやりがい感、達成感を持ちながら自発的に仕事をすること、そうした仕事を体感し、積み重ねることで職員の意識改革 が行われるのではないでしょうか。
産経新聞の記事によりますと、開票事務改善においては、東京の府中市、多摩市がこの運動をリードする全国のトップランナーです。全国から多くの自治体が視察に訪れ、ベンチマークしていき、そこから学んだことに自分たちの創意工夫をプラスして大きな成果を上げております。
この4月の長野県議会議員選挙においても、府中市を視察した長野県小諸市では、たった29分で開票作業を終了しております。開 票事務改善においては、開票台の高さの10センチアップ、従事者は動きやすい服装や運動靴を徹底する、開票会場のレイアウトの適正化を行う、票の分類には イチゴパック等のトレーを活用する、手の空いた職員は他の係を手伝う、疑問票判定マニュアルを事前に作成する、事前シミュレーションを実施する、立会人の 方と十分な打ち合わせを行う等、一つ一つはささいな、コンマ1秒の小さな節約の積み重ねが大きな改善につながっていきます。
公務員に欠けている観念、それは、自分から進んで改良し、物事を少しでもよくしていくこと。時間の感覚、目標へのこだわり、効率性の追求といった意識を持つこと、これこそが本当の行政改革ではないでしょうか。
民間企業では当たり前のようなことが役所の中では余り見られないというのは、昔からよく言われることです。民間企業で当たり前 に行われている、自分で考え、行動し、成果を上げる。そして、それを組織全体として行う。このことが選挙の開票事務を通して職員全体で感じ取ることができ れば、それは他の行政サービスに広がっていくことは間違いないものと考えます。
また、開票事務は、自治体の仕事の中で、係を超えて行う必ず少ない業務です。こうした職員が自分の持ち場の業務以外の仕事を役所が一致団結して行い、縦割りの職員意識を打破し、チームワークの重要性を再認識させることが可能なのではないでしょうか。
4月の統一地方選挙前半戦の都道府県議会議員選挙で、全国2位、29分で開票事務を行った広島県三次市の取り組みがTBSのブ ロードキャスターで特集されておりました。1年前は選挙の開票事務の重要性に気づいていませんでしたが、市長がこの重要性に気づき、30分で開票を終了さ せるといった明確な目標を掲げたことにより、職員が一致団結し、29分という記録を打ち立てました。
テレビでは、開票終了後の感想を何名かの職員がコメントしておりましたが、すべてが笑顔と達成感で満ちあふれていました。この成功体験は、他の行政サービスに必ず波及していくような印象を感じました。
そこで質問をいたします。
本区では、人材派遣を導入し、人件費のコスト削減化を行いましたが、今回、開票事務について行ったコスト削減、効率化について伺いたいと思います。
2、近年、開票作業の短縮、効率化に積極的に取り組む自治体が増え、行政改革の推進をアピールする機会となっており、開票事務 改善は、庁内及び対外的にも重要性を増してきております。開票事務の短縮化・効率化を数値目標として掲げ取り組むことにより、さまざまな創意工夫や意識改 革が生まれてくると考えるが、数値の設定を含めて区のお考えを伺いたいと思います。
大きな改革の流れは、こうした小さな改善の運動の積み重ねから起こります。ぜひ我が区でもこういった運動に積極的に取り組んで いただいて、県内、全国のトップランナーとなっていただきたい。これをきっかけに、区役所の職員の意識改革につなげていくことを要望して質問を終わりま す。(拍手)
○(青木勇区長)
米山議員のご質問にお答えいたします。
具体的な状況については、後ほど担当の者からお答えをいたしますけれども、今回の建築基準法の改正は、平成17年11月に発覚 をした構造計算の偽造事件の経緯を踏まえて、このような事件の再発を防止し、法令遵守を徹底することによって建築物の安全性に対する国民の信頼を回復する ことを目的として改正されたものと承知しております。
この改正によって、一定規模以上の建築物は、建築確認の審査のときに、構造計算の適合性について専門の判定機関の審査が義務づ けられることとなります。また、民間の指定確認検査機関に対しては、業務の適正化を図るために、損害賠償能力や公正中立要件など、検査機関の指定要件が厳 しくなるとともに、特定行政庁に立ち入り検査権限が付与されることで、指定確認検査機関の指導・監督が強化されることとなるわけでございます。
区といたしましては、この法改正の趣旨を踏まえまして、より一層の建築物の安全性の確保に努めるとともに、区民サービスの向上に努め、区民の信頼を築いてまいりたいと考えております。
その他のご質問につきまして、都市施設担当部長及び選挙管理委員会事務局長から答弁をいたさせます。
○(菱沼実都市施設担当部長)
建築確認申請件数と完了検査件数についてのご質問にお答えいたします。
まず、区内の建築確認申請の件数ですが、平成16年度は、総数が約1,900件、そのうち指定確認検査機関への申請が約800 件、葛飾区への申請が約1,100件でした。翌、平成17年度は、総数が約2,100件、そのうち指定確認検査機関への申請が約1,400件、区への確認 申請は約700件でした。平成18年度は、総数が約2,000件、そのうち指定確認検査機関への申請が約1,400件、区への確認申請は約600件と、指 定確認検査機関へ申請する割合が増加しております。
次に、完了検査の実施件数ですが、平成16年度は、総数が約1,290件で、そのうち指定確認検査機関が約630件、葛飾区が 約660件でした。翌、平成17年度は、総数が1,350件、そのうち指定確認検査機関が約950件、区が約400件。平成18年度は、総数が約 1,500件、そのうち指定確認検査機関が約1,100件、区が約400件でございました。
次に、指定確認検査機関への建築確認申請が増え、行政のチェックが手薄になり、また、職員の能力の低下が懸念されるとのご質問にお答えいたします。
建築確認申請の件数は、昨年度の実績で約7割が指定確認検査機関に申請されている状況でございます。また、今回の建築基準法の 改正は、姉歯建築設計事務所の構造計算偽造事件を教訓として、今後、このようなことのないよう建築確認・検査の厳格化を図るなど、建築物の安全性に対する 国民の信頼を回復することを目的としたものでございます。
この改正により、一定の高さ以上等の建築物につきましては、専門の構造計算適合性判定機関が構造計算の審査を行うことが義務づ けられました。また、特定行政庁に対して指定確認検査機関への立ち入り検査等の権限が付与されるなど、指定確認検査機関への指導・監督の強化も図られるこ ととなったものでございます。さらに、確認申請図書の審査では、審査漏れなどがないよう、国土交通省から詳細な審査の基準が示されることとなっておりま す。
区は、これら建築基準法改正の趣旨を踏まえまして、建築物の調査、検査、指導をさらに強化することで、建築物の安全性を確保するとともに、職員の能力の向上を図り、さらなる区民の信頼を築いてまいりたいと考えております。
次に、建築確認申請の対応についてのご質問にお答えいたします。
今回の建築基準法の改正に伴い、建築確認申請書を受理した後は、軽微な訂正を除き、申請図書の訂正ができないこととなります。 その詳細な審査基準は、国土交通省から今後示されることとなっておりますが、現在、東京都や他区と事前相談等、区民サービスの観点にも留意した対応につき まして、協議・調整を図っているところでございます。
以上でございます。
○(松下謙司選挙管理委員会事務局長)
それでは、開票事務についてのコスト削減、効率化についてお答えいたします。
開票事務につきましては、従来から職員参加による全庁的な協力体制のもと、開票手順の見直し等、さまざまな改善・改革を行って きたところでございます。今回の都知事選挙から、300人規模で開票事務に人材派遣を導入いたしました。その結果、開票事務にかかる人件費につきまして は、前回の都知事選挙と比較いたしまして15%ほどのコスト削減を図ることができました。7月に実施されます参議院選挙におきましても、300人規模の人 材派遣を活用する予定でございます。
次に、開票事務に関する数値目標の設定についてお答えいたします。
選挙事務につきましては、正確に執行し、区民に信頼されることが何よりも大切だと考えております。そこで、開票に当たりまして は、疑問票などにつきましては正確を期するため慎重に判定しているところでございます。また、開票立会人による票の確認も欠かせないものであり、結果とし て時間がかかる場合がございます。これらのことから、開票につきましては、数値目標になじまない性格のものであると考えております。
一方、開票事務の短縮・効率化、これは非常に大切な課題でございますので、選挙の種類等に応じましてさまざまな工夫をし、正確で効率的な開票事務の執行に努めてまいります。
以上でございます。
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